政府通貨発行権が話題になっているようだか、これは、書物を出している著名なケインジアンのうち、だれが主張しているのだろうか。
ケインズ政策といっても、一つではない、と思うが、その場合、それが分配にどのような影響を与えるか、が大事であろう.それ自体として重要であるばかりでなく、景気回復(さしあたっては、GDPで測定された)の経路にも影響を与えるのではなかろうか。
ところで、日本の代表的なケインジアン、小野善康氏は、消費税減税が景気を回復させることを証明している。(貨幣経済の動学理論--ケインズの復権--東京大学出版会、pp62-64)。ところが、彼の書く通俗本では、この手段は現実的ないと否定する。かれは、国会で公明党の紹介で参考人として呼ばれる人だから、そういうことになるのであろう。
彼の議論は極めてsimpleで、効用関数の変数として、貨幣や資産も含まれる、それだけであって目新しいものではない。しかし、それをきちんと展開していることには、つくづく感心させられる。
資本家が決して自分の欲望を満たすためだけに自分の活動を行なっているのではない、むしろ資本家であることを楽しんでいる、ということを考えれば、近代経済学の通常の「消費者主権」の考えは否定せざるをえないのは当然であろう。 しかし、その分析の焦点を家計の側に当てて実り豊かな議論ができるのであろうか。むしろ、企業の分析が大事である。企業を家計のベールとしてとらえるわけにはいかないであろう。