先日から一般投稿欄でサービス残業を根絶することがはたして雇用増加に結びつくかどうか議論されています。
私はかねてよりこの問題に関心をもっていましたので、簡単に発言させていただきます。
まず結論をいうと、残業規制による雇用創出効果なるものは疑わしいと思います。今、新自由主義者からは、解雇規制を緩めることで雇用が創出できるという「理論」が主張されていますが、それと同じ位に疑わしいと思います。
そもそも、資本主義のもとで資本家が労働者の一定量を雇用するのは、その労働者を働かせることによって、満足できる利潤率を確保できるからであって、何らかの「総仕事量」に対する責任を負っているからではありません。規制された残業分の仕事を新規雇用労働者に割り当てる保障は全くありません。利潤率が満足できれば雇用し、できなければ雇用しないということです。サービス残業減→雇用増理論は、資本主義社会における労働があくまで私的なものとして編成されているということを看過しているように見えます。
フランスの35時間法についてですが、同法は、時短をして雇用を増加した企業に対して、社会保険料等を政府が一定免除する、というもので、時短そのものが経済法則によって雇用を生み出すというものではありません。(詳しくは『日本労働法学会誌』93号の盛論文を参照)
失業者と雇用者が連帯できる理論が必要であることがいうまでもありませんが、この理論では甘すぎるように思われます。