私も、この問題はそう単純でないと思います。しかし、雇用創出効果が0ということは、まさかないと思いますし、また、カントさんより少し楽観的です。というのは、企業にとって利潤率が関心の的である、というのは確かにそうなのですが、同時に市場の確保ということも企業は考えているはずです。ですから、費用増に伴って生産量を減らすには減らすにしても、それほど減らさないのではと思っています。ですから、サービス残業という労働者にとっては最悪の形でまかなっていた労働投入量を、もっと別の労働者にとってよりましな形の投入量に置き換えざるを得ないのではないでしょうか。もっとも、新規技術の導入ということも考えなければなりませんが。これ以上のことは、実証研究をしないと何も言えないと思います。
私は、 一部の失業者と雇用者の連帯を否定するような議論に少し腹を立てて、極めて単純化された議論を持ち出しましたが、カントさんをはじめ何人かの方に議論をしていただいてよかったと思っています。
私の乏しい経済知識でいえば、経済学の方で、この問題をきちんと理論的に分析できる経済理論は存在しないのではないかと思うのですが、もし知っている方がいらしたら教えてください。
なお、カントさんに質問したいのですが、 「フランスの35時間法について、時短そのものが経済法則によって雇用を生み出すというものではありません」というのは、「経済法則によってのみ雇用を生み出すというものではない」と読んではいけないのでしょうか。紹介された論文も読まずに失礼ですが。