Hegelさん。レスをありがとうございます。
私としてはさしあたり、「規制された残業分の仕事量がそのまま新たな雇用を生み出す」という主張(雑誌『経済』『労働運動』でもしばしばみられる主張ですが)に対して疑問を呈してみたわけで、レスを読ませていただいて、意見の隔たりはそれほどないと感じました。
私のいいたことは、残業規制による雇用創出効果がゼロであるということではなくて、雇用創出効果は抽象理論的には答えがでないのではないか、ということです。「市場の確保」という点についても、たしかに市場を一定占有することによって独占利潤を得ることができる企業であれば、規制後も生産量を維持しようとするでしょうが、他方で、それまでサービス残業によって辛うじて競争力を保ってきた企業であれば、その分野から撤退する、ないしは非正社員化によって乗り切る、ということになるでしょう。トータルとしての変化を予測することは困難です。同様に、フランスの雇用増が時短の結果なのか政府の援助の結果なのかを確定することも、今のところ困難です。
理論的にはこのようなことぐらいしか私は言えません。ただ、議論の出発点に戻ると、私は、赤旗読者Yさんやサパティスタさんが「サービス残業減が失業者のためにもなるのだ」というような議論をうさんくさく感じていることに、やはり共感するところがあります。前回も書いたように、確かに失業者と雇用労働者は連帯しなければならないのですが、それはあくまでそれぞれの独自の課題を追求した結果そうならなければならないのであって、雇用労働者の利益の前進に失業者の利益が従属するかのように問題を立ててしまうと、失業者の反発は免れないでしょう。
私としては、正社員中心・雇用労働者中心・男性中心であった従来の労働組合が、活動を広げてゆくことが重要だと思うのです。それをまずしないと、いくら理論上連帯を言ったとしても奇麗事に映ってしまいます。
みなさんのご意見を教えてください。