4月28日の赤旗に「マルクスと資本論」の書評があったので、まだこの本は読んでいないが、この書評に基づいて不満点を述べておく。
1、これまでのマルクス経済学の研究の到達点を踏まえていない。特に、置塩信雄「蓄積論」を読んでいるとは思えない。
2、搾取理論と結びついていない。恐慌は、失業の問題であり、労働市場の問題であり、マルクス経済学の労働市場論の基礎概念は、絶対労働日である。景気循環の動学の問題として信用の問題は重要であるが、本質を掴むためには、まず静学的に実物経済を分析しなければならない。
3、利潤率の傾向的低下を論じる際に、考慮しなければならないのは、ゴミ問題である。ゴミは、景気循環の諸局面において、文字通りゴミだったり、価値を持って循環したりする。しかし、本質を掴むためには、ゴミは全て循環する、という想定のもとで、分析しないとこの命題の是非は問えないと思う. 価値は、消費されない限り、保存される、という仮定である。経済学の用語で言えば、結合生産物の問題でもある。
4、以上、単なる私見に過ぎないが、せっかく興味深い問題提起をしているのだから、意見を異にする学者を含めて、新日本出版者に働きかけて、百家争鳴的な議論を巻き起こしてもらいたい。