はじめまして。
私は、数理経済学は、よくわからないながらもこの本を読んだのですが、党員の方にも、非党員の方にも、市場経済を、どんなふうに、計画経済に転換していく可能性が、あるのかということについて、考えておられる方には、参考になると思います。特に数学、経済学の知識のある方にとってはそうです。
ただし、著者は、最大化問題という、経済学の理論に基づいて、計画経済の不可能性について、説明しています。しかし私は、著者は、イデオロギー的に、リベラル派の方ではないかと想像しており、たとえ、その理論が正しくとも、新しい理論を考え出すことにより、前の理論を乗り越えて、計画経済の現実的な実現理論と方法を、考える人が必ず現れると確信しています。それは、自然科学の発展の歴史が証明していると思います。
最大化問題とは、20種類の商品の需要と供給を、一致させる計算式を、現在のスーパーコンピュータでは、10秒ほどで解くことができるが、計算する商品の数が増えれば増えるほど、ねずみ算式に、計算時間がかかることをいい、100種類の商品の需要と供給を一致させる計算をするのに、なんと100億年以上かかってしまうという問題です。
ところで、現在の日本で生産される商品の数は、3000万種類もあり、著者によれば、あきらかに計画経済は不可能だと結論しています。
しかし、私は、先の新しい理論が生み出されるはずだという期待と、スーパーコンピュータの計算スピードの、ますますの進歩、そして、今のデジタル・コンピュータとは違う、数学者がカオス学の研究に必要だとして、現在研究中のアナログ・コンピュータなどに期待したいと考えています。