社会主義運動が単なる弱者救済運動になれば、それは一種の宗教運動・ボラン
テイア活動に過ぎない。少なくとも、社会主義を掲げるならば、未来への展望を持た
なくてはならないだろう。人類の歴史を概観すれば、受難者こそは歴史の扉を開く鍵
を握っている。彼らはいかにして歴史の扉を開く力を獲得できたのか?それは彼らが、
未来を展望する知性によって、己の受難を克服したからである。人間の集団的力は、
人間の弱点を長所に転化する。しかし、知性のない集団的力は、単なる暴力に過ぎな
い。それは人類を進歩じゃなく、後退へと導くだけである。知性こそがこの集団的力
を、正しい方向に導くことが出来る。人間の知性は、自由で民主的な討論の中でこそ、
鍛えられ成長するものである。知性は党中央官僚の中で産まれ、党員は中央の決定を
学習すればよい、と言う「民主集中制」は、党員の知性を劣化させ、受動的にするだ
けでなく、党中央自身の知性を、甚だしく劣化させている。
日本共産党の「赤旗」は財界からの独立性によって、それなりに特異なメデイアと
なることが出来た。一般の商業メデイアでは報道されにくい情報を発信することが出
来た。しかし、今日では、インターネットとブロードバンド革命によって、このよう
な特異性と貴重性は、急速に陳腐化しつつある。むしろ、共産党の「民主集中制」に
おいては、秘密主義・非公開主義の馬鹿馬鹿しさが目立ち始めている。インターネッ
ト上では、それぞれが自由で自主的な討論が不可欠である。それぞれが、自分の頭で
考えて議論しなければ、インターネットの世界では通用しない。共産党の「民主集中
制」は、こうした自由な議論を封殺する。党員は党内の小さなサークルの下では、自
由に議論する事が許されるが、党外で自由な議論をすれば規律違反となる。多様な意
見を持った者と自由で自主的な議論をすることで、知性は豊かになる。「党にとって
都合の悪いことは、見ざる、聞かざる、言わざる」の民主集中制は、党員の知性を、
インターネットの世界は急速に陳腐化するだろう。
グローバルで高度な情報社会は、否応なしに官僚的な制度と激突する。グローバル
な世界においては、情報の公開が強く求められており、透明で公開な組織運営が出来
ない組織は生き残れない。情報社会においては、一人一人の自己責任で、己の頭で考
え責任を持つことが求められる。インターネットとブロードバンド革命は、人間を巨
大官僚組織から解放する。その点では、ブロードバンド戦争は内乱(人間の解放)に
転化する、とも言えるだろう。党員の知性を官僚組織の中に閉じ込める「民主集中制」
は、否応なしに、インターネットと激突する。この激突で、共産党は生まれ変わるこ
とが出来なければ、死滅する以外に道はない。
なお、以下の投稿をリンクします。
「社会主義の未来」について
「社会主義の復活」について
「ハンデイキャップをばねに」
「ブロードバンド戦争の行方」