拙い投稿だが、ぜひ、すべての党員、党支持者、社会変革に共感を寄せるすべ ての青年層にお読みいただきたい。
何度かの選挙による中断をはさんで、居住地で綱領学習会が再会された。8~9人
しか受講者が居ないものの、みな忙しいなかを他の用件を断ってなるべく受講してい
る。学習継続はチカラなり。
司会は、地区党専従青年で、講師は元県党要職を務めた人である。指定テキストは
『党綱領の理論上の突破点について』と『新綱領を学ぶ』、それに文献パンフ版『
(新)綱領と規約』である。ハッキリ言って指定テキストは刺激がないので、専ら講
師や大学院受験準備中の某受講者との討論が楽しみになっている。
衆院選前の7月にあった学習会の席上、「先進国革命はどうあるべきか」との趣旨
で討論になった。ぼくは一連の受講を通じて社会主義とか社会変革についてあらため
て考えさせられた。「革命」なるものが成立する要件について、私見では旧来の社会
主義革命説を下敷きにしたものでは、日本における今後の未来ヴィジョンは描けない
のではないかと思う。ただ、1960年安保闘争を知らずに生を受けた世代としては、
歴史教科書の中の過去の出来事(の一節)にすぎないと感じてしまうのが正直な感覚
ではある。「カクメイってなあーに?」といったレベルが一般的ではないか?
そのような世代の1人からみても聞き捨てならない意見があったこともここで紹介 しておかなければならないだろう。というのは、次のような年配者党員の発言があっ たからだ。「ワシの目の黒いうちに革命が起こるかどうかは知らないが、それはどん な形態になるだろうか? 必ずしも平和的な手段でそれが達成できるとは考えにくい んではないか?」。ぼくはその意見に強い違和感を払拭できなかったので、後日、さ まざまな方法で探索したが、年配者党員の「真意」は「状況によっては武装革命にな りうるのもやむをえない」と言いたかったのではないか?と推測できた。本気であの ようなことを発言したとしたら認識を改めてほしい。なにごとにつけ、“急進的”な 行きかたは不幸な結末をもたらすと思うからである。
次回に、その年配者党員に問いただしてみたいのだが、そもそも、党中央はいわゆ る暴力革命路線を棄てたはずではなかったか? 党内外の社会主義論の文献や、かつ ての不破著書中にはたしかに「敵の出方論」とか「強力革命」とか言う文言はあった ものの、現在は議会制民主主義オンリーで社会変革をめざすベクトルで固まっている はずだ。旧ロシア革命や中国人民革命の過程では多数の民間人が巻き添えで生命を落 としたという。専制支配者の首がすげ変わっただけで、その後冷戦崩壊時まで人民の (市民的政治的な)自由は圧殺されたではないか。 否、今でも中国国内では共産党 政府に対する批判的な言論・出版はできないではないか。
私見では、いわゆる「プロレタリア文学」というジャンルを最近まで読んだことも ないぼくだって、「武装革命幻想を抱くなんてことは絶対やめてほしい」と思う。マ ルクスだったらあきれるはずだ。故・河上 肇(はじめ)や、(警視庁築地署に拷問 虐殺された)故・小林多喜ニ(小説家)が現代に存命なさっていれば「実力行使は絶 対にやめろ! 逆効果にしかならんぞ」と引きとめるに違いない。
現実に即して考えてみればすぐ理解る。ありえない想定で馬鹿馬鹿しいが、いま仮 に40万党員のうちほんの一握りの血走った武装闘士が公権力機関中枢への襲撃をし ようと企てたと想定してみよう。司令主体がどんなものであっても、速やかに鎮圧さ れるに違いない。有事法制の一環・現有の治安諸法制だけで事前摘発は赤児の手をひ ねるより容易だろう。そもそも、日本は「銃コントロール」が全国津々浦々まで行き 届いている。“銃口から生まれた国アメリカ”とは次元がまるで違うのだ。ヤクザや 猟友会会員・自衛官・警察官は別としてすべての日本国民は武器の取り扱い方も何も かもチンプンカンプンだ。大量の武器を調達できるわけがない。
大量の弾薬も含めていったいどこへ安全に保管できるというのか? 馬鹿馬鹿しい。
所持・輸送・保管・譲渡・譲受・借入れ・購入・売却・不法廃棄、これらすべてが現
に刑事罰で禁止されているこの日本では、最初からすべてが引っかかるようになって
いる。ズブのド素人を一応の武装戦士に仕立て上げるには多分、最短でも2年間の養
成期間を要するのではないか? 特殊なマインドコントロールの類いを誰が教育でき
るのか? 高度な組織編成のできない武装行動なんか今どきありえないし、笑止千万
でしかない。非合法武装小隊の通信手段は、例外なく容易に盗聴される。そうなれば
動静はすべて筒抜けだろう。 否、党員の平均年齢が高いことだけみても、武装革命
は最初からムリに決まっている、間違いない。
幸いにして、同盟員もすべてやさしい良識的青年ばかりだ。
それでも敢えて危険な幻想を抱く強情な一部の人に忠告したい。
「武装革命は流血惨事を招きがちだ。民間人を巻き添えにしない確実有効な術策なん
て果たしてありうるのか?」
「現行の自衛隊法に《治安出動規定》があって、鎮圧のためなら発砲もできることを
知ったうえで主張しているのか?」
「CIAや在日米軍に察知されずに武装革命を遂行できると本気で考えているのか?」
「公安警察増員必要論者を元気づけるだけだ」
「保守政権を倒しえたとしても、山積する重要政策諸課題への着手にソフトランディ
ングできるのか?」
「日頃、人権や平和、護憲を唱えるあなたと、武装革命を標榜するあなたは同一人物
なのだが、その矛盾に気がつかないのか?」
「それでもなおも強情を張って武装革命幻想を公言する、そんなあなたは心情的に新
左翼ではないのか?」 と・・・・・・・。
武装蜂起の兆候が明らかになっただけで、大メディアは大々的に報道し、《治安法 制の更なる拡充》を絶叫することだろう。良心的な圧倒的多数の党員や労組専従者ま でが危険人物呼ばわりされ、裁判所は家宅捜索令状(*)にポンポンとハンコを押す かもしれない。(*注:出身大学の刑事政策の教授に伺ってみたところ、「家宅捜索 に苦情や抗議をしただけで公務執行妨害で逮捕というのは、法実務家の多くから聞い た実態だ」との答えだった。)
過半数の国民も「テロ対策」の文脈でなら抵抗なく共感してしまうだろう。反共の
コチコチ米英人でさえ目を見張るような様子で。
まして2005年の通常国会では本当に「共謀罪」が成立しそうだったのだ(“郵
政国会”“コイズミ劇場”に助けられた形で審議未了だったものの、保守側は法案
「再」提出すると思われる。)。友人の情報によると、イギリスの某中道系新聞です
らも「日本の人権基準の更なる劣化」だとかの論調で紹介したらしい。なにより、ど
んな形であっても武装革命・武装蜂起は、あらゆる局面で市民的・政治的自由を圧殺
し尽くす最悪の結末しかもたらさないだろうことは、断言していい。公安警察・公安
検事・公安調査庁・総務省内閣調査室の思うツボだ。
憲法条文改悪の日程は早まるだろう。これからの時代、公権力による弾圧の矛先が 向けられるとしたら対象は党関係だけではないだろう。「武装蜂起を狙う“ならず者” がひょっとして身を隠しているおそれがある」との口実で一般市民団体にまで私服公 安の監視が及ぶかもしれない。仮にそうなればそれは誰にとっても今よりも絶対に息 苦しい社会だ。「ミニ・ソ連」だ。ジョージ・オーウェルの世界が現出してしまうと いうことだ。マルティン・ニーメラー牧師(*)の箴言どおりだ。合法政党に破防法 が戦後初、適用されたらどうする? ブッシュのアメリカ並みにテロ名目での予防検 束に道を開いてしまうだろう。もうそんな日本社会には耐えられない。ぼくなら日本 人であることをやめたい。
だから、万が一にもそんな事態を迎えないために、今後入党勧誘を担う立場の人は、 平和的穏健な社会変革の具体化ヴィジョンを徹底的に再研究してほしい。憲法違反の 諸法令も併わせ研究する必要がある。 否、入党勧誘や党勢拡大なんか二の次でいい。
いまどき、レーニンやマルクスのみにこだわる必要はない(マルクス自身が生前に 「すべてを疑え!」と呼びかけた史実を想起せよ。)。当然、党中央は総力をあげて 党教育プログラムの大刷新をすべきだろう。アナクロな前衛エリート主義や思想的 “純潔主義”を棄て、党外の良心的知識人・諸専門家の助力を仰ぐ勇気をもつべき時 期だろう。 否、党中央は石頭で話にならないだろうから、全国の党支部の中から危 機感をもった良識派党員が自発的に研究会を立ち上げ、広げるほうが早くて確実かも しれない。党中央は自己保身を最優先視するだろうから「それは党決定に反する分派 活動だ! 反党分子だ!」と伝家の宝刀・調査審議(査問)をちらつかせるかもしれ ない。だが、「オール警察国家化の阻止」と、チマチマした単なる党内規律保持のど ちらが大切なのか、考えるまでもなく答えは明白である。
一連のペシミスティックな近未来の想定シナリオ(あくまで独断と偏見ということ
は認識している。)は、犠牲者が党内だけではないだろう、と示唆したいのだ。現実
にここ数年起こった数々の不当弾圧事件に対し、アムネスティや国連人権小委員会辺
りは「重大な関心」をもって見守っているらしい。
散発した弾圧を、相も変わらずこのまま共産主義のコンテクストのみでとらえ続け、
傍観視すれば、マルティン・ニーメラー牧師の箴言を引用するまでもなく、市民的・
政治的自由の圧殺は、すべての日本国民の身の上に襲いかかりかねない。旧ソ連無き
いま、人員過剰な公安は傍若無人で暴虐な振舞いのステージを手ぐすね引いて待ち受
けている、と考えるのは、必ずしも杞憂と考えないほうがいいだろう。
始まった2005年・特別国会では、いよいよ郵政以外に「改憲国民投票法案」の
提出がなされるという。1998~2004年まで一連の有事関連諸法制が次々と成
立しただけに、保守側はタカをくくっているのだろうか。
だが、まだ今は幸い、タテマエ上とはいえ(しかし少なくともぼくは「タテマエ」
とは思わないが。)「思想・良心・集会・(合法的な)結社の自由」は憲法上で保障
されている。憲法が殺されない今のうちに冷静な紳士的な態度で、徹底的に、且つ、
継続的に、総合社会科学的に討論を積み重ねてもらいたい。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。参考までに下記にぼくの好きな 格言・名言の一部を引用します。
「人間を不正に投獄する政府のもとでは、正しい人間が住むのにふさわしい場所もま た牢獄である」
by HDソロー
「やつらが共産主義者をとらえた時、私は声をあげなかった。
私は共産主義者ではなかったから。
やつらが社会主義者をとらえた時も、私は声をあげなかった。
私は社会主義者ではなかったから。
やつらが労働組合員をとらえた時も、私は声をあげなかった。
私は労働組合員ではなかったから。
やつらがユダヤ人をとらえた時も、私は声をあげなかった。
私はユダヤ人ではなかったから。
そして、最後に やつらが私をとらえに来た時、
私のために 声をあげてくれる人は、もう誰もいませんでした」 by ホロコーストの犠牲者、ドイツのマルティン・ニーメラー牧 師
「愛国心は、悪党の最後の逃げ場である」
by Sジョンソン(イギリスの詩人)