やすしさまにとって社会や政治の基準は「民主主義」にあるようですね。
それでは仰る「民主主義」とは具体的に一体なんなのでしょうか?
このことをはっきりさせないと、幾ら未来社会とか社会主義とか何とか言われても、到底理解できないのです。
ブッシュがイラク侵略戦争開始の口実にしたのもサダム・フセインの圧政からイラクを解放し「民主主義」と自由を回復するという事でした。
しかしそれは未だ16万余の米軍の力をしても実現していません。
そもそもブッシュの言う「民主主義」とは何なのか、全く明らかにされていないからです。
新自由主義とグローバリゼイションが「民主主義」なのか、進化論すら否定するキリスト原理主義が「民主主義」なのか、ハリケーンに襲われて壊滅したニューオリンズが「民主主義」の結果なのか、所得格差拡大と社会保障制度すらないアメリカ社会が「民主主義」なのか等など、「民主主義」の正体が全く分からないのです。
私自身はブッシュやブレアの言う「民主主義」も、小泉や自民党、民主党そして公明党、社民党そしておそらく共産党の言う「民主主義」とは、「ブルジョワ民主主義」、形だけ与えられた中身の殆どないカッコつき「民主主義」だと思っています。
例えば「普通選挙権」について言えば、一票の重さも価値も全く平等ではない、金持ちが、ブルジョワジーが絶対的に有利なシステムでしかない。
同じ「労働」でも出身と階層によって、初めから違っている、同じ年齢の若者が同じ日に働きだしても、一方は汗しなくて年収何億円稼ぐ、一方の若者は汗も血も時間を幾ら費やしても、年収が200万に満たない。
これも今のブルジョワ「民主主義」の実態であり現実です。
「民主主義」と言うきれいな言葉では測れない不平等が厳としてある、これが本当に「民主主義」なのでしょうか?
だからやすしさまが幾ら力説されても、メインに於かれた「民主主義」が何なのかか全く判らないから理解できないのです。
「プロレタリア独裁」もブルジョワ民主主義(資本主義社会の産物の一つです)を粉砕するための手段にすぎません、共産主義社会実現の手段としての一時的な政治形態にすぎません。
やすしさまの仰る「民主主義」と対照するものでは全くないのです。
ある一例を紹介します。
ある小さな労働組合の事です、会社が「偽装倒産」して労働者全員を解雇した。
働いている人たちは困った、どうしたらいいか、そこで残った労働者を中心にして自主生産・自主管理の労働組合をつくった。
1年、2年たった、まだ再倒産もなくどうにか頑張っている。
そして話を聴いて驚いたのは、その組合は社長だろうと、ベテランだろうと新入りの何にも出来ない労働者にもみんな同じ賃金を払っている。
実際幾ら貰っているかは聞き逃したのですが月30万円くらい貰っている、当然社会保険にも入っていると言うのです。
だから一時金を入れれば年収400万円、それを力だけしかない二十歳の労働者でも貰っている。
派遣や請負の若者達が稼いでいるのよりうんと多い、資本家がいなければ、資本家が利益を掠め取らなければ今の日本でもこんなことが可能なのです。
昔、今は分割されてしまった旧ユーゴスラビアではチトー大統領の下で「労働者自主生産」が国家のスローガンとして上げられ、各地に協同組合が設立され活動していた。
チトーが死に民族対立が激化し、その夢は潰え去ったのですがこんな事も可能だってことです。
労働者が自分で稼いだものを平等に分配する、労働者が稼いだ利益から、障害者に宛てる部分、社会保障、再投資金、社会的費用など差し引いた残りを労働者に公平に分配する社会。
いいと思いませんか、絶対不可能ですか?
もう一度、やすしさまの仰りたい「民主主義」が何なのかお教え下さい、御願いします。