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「組織論・運動論」討論欄

人文学徒さんへ(浜吉)

2004/06/23 浜吉 60代以上 年金生活者

 一度ご返事したのですが、私のミスで遅れました。
 再度、同じような文面で投稿します。

人文学徒さん はじめまして。
 あなたが私の投稿を積極的に受け止めて下さったことに感謝致します。
 自分なりに一生懸命であっても、ふっと立ち止まった時に「ちょっと自嘲気味になる」ことは、私にとっては日常的なことです。
 私自身は中学を卒業して零細企業に就職し、そして親方とケンカをしたのがきっかけで、ある巨大企業「臨時工募集」に応募し、就職したのです。そして、そこで入党したのです。四十数年まえのことです。しかし、共産党の現実の活動には本当に落胆し、5年で離党しました(その落胆は今も変わらない)。ただ、会社の専制がどうしても許せず自ら退社する気になれなかったために、定年まで続いた差別を甘受してしまったのです。
 さて、人文学徒さんが共産党を批判されながらも、「共産党以外に日本全体を良くできる可能性があるような政党、全国的団体は他にない」とのお気持ちでおられること、私もまったく同じです。しかし、今の共産党を上から変えることは到底困難です。いや、下からでもなかなか出来ることではありません。
確かに、理論問題もあります。山ほどありますね。しかしそれを党の幹部にぶつけてみたところで、労働者・国民の生活実感からかけ離れたところでの議論になってしまうことでしょう。そして、その議論も堂々巡りになるだろうということも、見当がついています。私自身も県委員会や中央委員会に種々言いましたよ。でも、なしのつぶてです。なぜ、そうなるのか。第一に彼ら自身、労働の現場など全然知らないのです(全国を歩いていますから口先では詳しいことを言いますが、それは「知識」以外の何物でもないのです)から、頭の中でしか議論出来なのです。第二に彼ら自身が現場を知らないからこそ、自説は正しいと思っているのですから手に負えません(その意味では、彼らの目を覚ますのも我々の役目かも?)。第三に彼らも組織の弊害の中に身を置いてしまっていて、彼ら自身の視野を狭くしてしまっていますから、議論だけでは彼らはなんともならいないでしょう。私もこんなことは言いたくないのですが(できれば党の幹部に分かって欲しいのですが)、それは容易ならざることというほかないようです。
偉い?先生?の話によれば、マルクスは商品の分析から資本主義に内在する矛盾を暴露し、社会主義への必然性を説いたけれども、その過程における民主主義の問題を詳しく説かなかったために、それが今日の宿題となってしまったとのことでした。そう言われてみると、この辺の問題は大きいと思います。共産党にとって、民主主義とは支配階級と闘う革命までの道具でしかありません。当然に党内には民主主義は必要ないのです。党員達に党の方針をなんとか納得させて活動させれば、それを民主主義と言ってるだけのことです。こうなれば”理論”は、党の方針を正当化する道具であり、一部の幹部や”研究者”のおもちゃに成り下がるほかありません。実際、その道の大家といわれる学者先生も労働現場の悩みの前に立ち往生してしまっているのです。共産党幹部でもその問題に真面目に立ち向かったら分からないでしょう。ただ、彼らには「だから党を大きくするんだ」という逃げ道があるに過ぎません。
共産党支部の活動がなぜあのようになってしまうのか?もちろん、中央や県からの党勢拡大と選挙一本槍の指導にあります。いずれ「社会主義に前進」することを歴史の「必然」とし、豊かな素質を持った党員と党組織を育てて人々から信頼される党を作ることよりも、選挙で前進することのみしか考えていないことからくる、当然の結果です。ですから、どの党員も(党員学者も)政府・財界に文句をつける「情勢論」では活発ですが、現場の労働者・国民とどう対話し共同するのかということになると、「頑張る・・」というほかにはなにも積極的なものは出ないのです。その根底には人々に対する心底からの信頼がないこと(すなわち、人民の上に党を置く思想)、民主主義をより深く理解し党内からまず実践しようという理解がないこと、民主主義が社会に広く育たなくても党が大きくなるという逆立ちした活動に夢中になっていることに気がついていないこと等々・・、数え上げればキリのない問題があるのです。
さりとて、彼らを責めているだけが私たちの仕事ではありません。マルクス・エンゲルスが残した最大の教訓はその科学的手法を改めて我々に示してくれたことではないでしょうか(マルクスやエンゲルスなどがどの著作でなにを言っているのかを議論しても、その内容は歴史と共に変わってきます。不破氏はまだそこにしがみついているね。現場を知らない党の幹部らしいですね)。であるならば、私たち一人一人がマルクスがやったように目前にある諸問題を見過ごすことなく取り上げ蒐集し、可能な限りの分析を加え、課題を提起する努力をしなければなりません。また、そういうことの出来る仲間の輪を育てることも、非常に重要だと思います。また、人々の中で対話や読書や交流の場をつくり、広めていく努力も必要ではないでしょうか。このように、社会発展の方向を教えてくれる最大の教師は労働者・国民の労働と暮らしの中にあるのです。そして、そこから課題と方向を引き出すのは、我々の良心と力量なんです。民主主義は、そういう努力の中でこそ生き生きとした力を発揮出来るでしょう。因みに、私自身は地域の人たちとのお喋り会をもっていますし、いろいろな繋がりを・・・(文字化け)・・・在の共産党を見殺しに出来ないとするなら、彼らと適切な距離を保ちつつ、我々自身が社会の中で活動しながら必要な課題を提起していくしかありません。それは、時として自嘲したくなるような気の長い話ではありますが、諦めてはならない活動だと思っています。
最後に、人生の先が見えてきた私たちがすることの一つに、自分の一生を纏め、そこからの教訓を若い世代に伝えることです。人文学徒さんの一生を真剣に振り返り、そこでの失敗と教訓を明らかにするならば、おそらくかなりの宝物が掘り出せるでしょう。必要とあれば、それを出版されてもいいと思います。そしてそれは、馬車馬のように走っている党員活動家にとって、なによりのプレゼントになると思います。
人文学徒さんはじめここに参加されている皆さんが、この社会の中であなた方自身にとって今なにが出来るのかを追求され、行動を初めて欲しいのです(もう既に活動されていると思いますけど)。そう言う活動の経験と実績に立って、共産党になにを提起するのかを議論したいものです。
長くなってしまいました。乱文をお詫びします。もし、ここまで読んでくださったなら、心からの御礼を申し上げます。