寄らば大樹の陰さま
はじめまして「過去へのこだわり」です。 この間「新日和見主義」の問題と労働者階級は果たして「前衛」か、とりわけ公務員労働はその本分を逸脱し、すでに権利擁護の団体に成り下がってしまっているのでは無いかと疑問を呈しています。
今回の寄らば大樹の陰さんの投稿が大阪市の労働組合にも一理あるかのような養護論を展開されていますが、私は今大阪市の労働組合を養護すれば公務員の労働組合が立ち直る千載一遇のチャンスを逃がしてしまうと考えています。
同じ公務員として残念ですが、大阪市の労働組合運動は大阪全体の中でも大きな弱点を有していた事は「噂」として認識していました。例えば組合の幹部ですら給与の内容を説明できないほど不明瞭になっていると。今回の問題の発端は、毎日放送のスクープです。
大阪市のある区役所にカメラを設置し、全員が帰ったのを確認してから(カメラで写してから)残業の記録を提出させ、その不当性を告発しました。このような事が組織ぐるみで行われている思想的退廃は私は労働組合運動とは全く無縁な存在だと考えています。
しかも私はこの放送を見たとき大阪市の実態がいくつか見えて来ました。まず労働時間が確か5:30までだったと記憶していますが、5:00頃にスピーカーで案内があり「早く手続きしてくださいもうすぐ終了します」とアナウンスされていました。さらに毎日放送が5:45に撮影した際には、すでに誰もおらずもぬけの殻でした。(まさに一昔前の役所の姿がそこにはあります。)
一部か知らないが職員の労働条件は日増しに悪化している、サービス残業など指数に表せない仕事が増加し、若い人の中には深夜止む無く働いている人もいるそうだ。
今回のケースの場合、大阪市の労働組合が特別に悪いのではなく、財政難で悩む自治体が、無理やり財源を捜そうとして発生した対立に過ぎない。
大阪市が強引に「市民の声」を借りて身内から探し出した財源候補なのだ。
民間企業でも作業服は支給されている、大阪市の「スーツ代を返せ」という市民の声はトンでもない間違である。
カメラが写した実態はものすごい説得力があります。寄らば大樹の陰さんが言われるようなサービス残業が基本で、残業代が足りないから一律支給をしていたとは到底思えません。大阪市の労働組合の行って来た事は、たぶん給料表の改訂の闘いではなく、残業手当の一律支給による実質的給与の改定です。
なぜこのような事をするかと言えば、我々公務員はラスパイレル指数と言う形で国家公務員と比較され、国家公務員よりラスパイレル指数が高いと国から賃下げの圧力が加わります。ですから各市ともラスパイレス指数を上げずに如何に労働者を優遇するか苦心しているのです。
ですから「スーツ代を返せ」というのはとんでもない主張では無く、正しい主張なのです。この「スーツ」は民間企業でも支給される作業服とは明らかに違うのです。これは形を変えた給料なのです。
しかし「労働者とは一体何なのか」がやはり問われているのかもしれない。
マルクスやエンゲルスが論じ、レーニンが指導した労働者、労働組合、そして労働者階級とは一体何なのだろうか?
プロレタリアート・労働者階級とは一体なんなのか。
しかし今問題なのは、同じく働いているのに、その権利も何も与えられず、資本の云うままに働かされ、置いてきぼりにされている残りの80%の労働者をどうするかと言う事ではないのか。
それがマルクスやエンゲルス、そしてレーニンが言う労働者階級、プロレタリアートの階級的立場ではないのか。
この問題意識私も同感です。「労働者とは本当に何なのか」、本当に労働者階級が革命の担い手なのか私も考えている所です。(周りの実態、実感からその気持ちがわいてこない。)
今回の問題ではまず指摘して置かなければならない事は、マスコミがすでに指摘しているように大阪市の労働組合は常に政権与党の側に存在した事です。大阪市の労働組合が大阪市民の生活と健康を守る立場から、現在の自民・公明・民主の連立の市長と対決をしていたのなら、私は最低限この組合を認めます。この組合は自分たちが与党の立場を得ることが最大限自分たちのためになると判断しているのです。(そこには市民は不在です)
私の存在する市でも連合系組合は、自民・公明・民主で市長を押します。そこには市民の利益よりも自分たちの利益を優先する、組合幹部の顔が完全に見てとれます。
寄らば大樹の陰さんが言われているように、「同じく働いているのに、その権利も何も与えられず、資本の云うままに働かされ、置いてきぼりにされている残りの80%の労働者をどうするかと言う事ではないのか。」その通りだと思います。我々公務員労働者の中にも嘱託員という形で大量の無権利労働者が発生してきています。その賃金は正規職員の1/3~1/4です。確かに組合はこの人達の給料の値上げや諸権利の拡大に取り組んでいますが、それは「アリバイ」的闘争でしかすぎず、私は今の組合闘争はすでに「ギルド」的要求になっていると見ています。
ここからが私の過激な意見ですが、すでに「ギルド」と化した公務員には緊張感も何も無いと言うことです。この組織におれば一生賃金は保証され、リストラや嫌がらせも無い社会です。嘱託職員の導入が始まって以来、嘱託職員の中に優秀な職員が沢山居ることが明らかになって来ています。しかし現行正規職員がどれだけ能力が無くても、この嘱託職員に取って変わられる事は無いのです。私が見ている限りにおいては、正規職員はこの矛盾に目をつぶり、如何に今ある権利を最大限維持するかに最大限感心があります。
大阪市では本来仲間である筈の労働組合と、市民オンブスマンが敵対関係に入ってしまった、裏でほくそ笑むヤツが気にかかる。
大阪市市職労は今、仲間を見失っている、「市民」という労働者から批判されて何も出来なくなっている。
「裏でほくそ笑むヤツが気にかかる」ご指摘の通りだと思います。今日の毎日新聞では自民党が大阪市に調査団を派遣し、民主党潰しに使えるとはしゃいでいる様な記事が載っていました。
ですけど私はこの段階で大阪市の労働組合は誤りを認め、今後は市民の目線で戦う事を表明すべきだと思います。市長選挙等においても自民党と共闘はしないことを打ち出すべきです。それができない限り労働組合運動の再生はありません。
「大阪市市職労は今、仲間を見失っている」と指摘されていますがその通りだと思います。ただし、大阪市市職労は最初から「市民」という労働者を仲間と見ていたのでしょうか、私には疑問に思います。厳しい言い方かも知れませんが「自己の権利拡大にばかり溺れた者の自業自得」だと私は思っています。私の所属する市では同じ連合系自治労ですが「大阪市の不当弾圧を糾弾する」という様なビラは一切発行されていません。今の公務員労働者の関心は、早くこの問題が終わってほしい。大阪市役所の特殊問題として片づけられ、我々の市へ飛び火しない様に肩をすくめて見守っているのが現状です。
最後に赤旗にこの問題で立ち上がった市民の集会の記事がありましたが、その際こちら側の組合員が大阪市問題を報告(告発)していましたが、消費者団体の参加者が、「なぜ事件発覚前に内部告発できなかったのか」と指摘したとの記事が非常に印象に残りました。