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「組織論・運動論」討論欄

パート時給1200円は高いか?について

2005/02/28 寄らば大樹の陰 50代 苦闘するフリーター

 人が闘う時、その立場にたつ人が納得するスローガンが必要と思う。
 今日、あるグループの人たちが「パート時給に異議あり!」「時給1200円 は高いか?」と書いたビラを駅前で配っていた。
 私はそのビラを見て思った、「このビラ、どこを向いて書いているの?」と、 「最低時給1200円絶対保障せよ!」と書いてあるなら少しは納得するだろう が、これでは何を訴えたいか分からないからである。
 確かに、今一部エリート層を除き、労働者の「時給」は、年を経る毎に安く なって来ている、どんなに懸命に働いても年収200万円行くかどうか分からな い労働者が、「フリーター」「ニート」「派遣」「請負」などの形で何百万人い や数千万人も存在する。
 しかも現実に、雇用条件が若年でも、中高年労働者でも時給700円・800 円で表示され、実際働いている人が多い、私も含め、低賃金で働く労働者にとっ て「時給1200円」は「高嶺の花」かも知れないし、即時的には最低それ位は 確保したいと思う。
 しかしだ、時給1200円を目標に設定する要求も、その労働組合運動も、間 違っていると思う。
 まず、このビラを受け取った、時給700円、800円で働いている労働者の 大半は「なんだこれっ」と思ったに違いない。
 労働者の分断を図るようなビラは作ってはならないと思う、誰も一生こんな低 賃金のフリーターや、派遣・請負でいたいとは思わない、もし主張するなら「大 幅賃上げ要求」だろうし、「不定形雇用の廃止・正社員化要求」とすべきだろ う。

 今、リストラ、首切り、大幅賃下げ、不安定雇用化の推進、そして正社員には 成果主義への移行が強制され、ふるいがかけられている(落第者はフリーターへ の道だ)、経団連を筆頭に資本・大企業はやりたい放題のことをやっているの だ。
 そしてそれは「より正しい事」として進行している。
 それに対し既成の労働組合の大半は、逆らう事はもとより、何ら対抗もせず、 労使協調・屈服で胡坐をかいているだけだ。
 確かにビラの内容を見ると政府・企業・大資本が進める労働の不安定化、正規 雇用の削減、労働条件の流動化など不当な雇用政策への疑問は述べられている、 しかもその姿勢は「被害者意識」から、そして「パートと言う立場」から殆ど全 てが発想されている。
 これで果たして労働者の共感が得られるのか、闘いの仲間を獲得できるのかと 疑問に思う、「時給を1200円は高いか?」「パートの待遇を見直せ」では決 して闘えないし、勝つことは出来ない、1200円を基準にして闘ってはならな いのだ。

 今の政府・資本の雇用問題攻撃はこんな事では絶対無い、郵政民営化、公務員 の待遇見直し、行政改革、行政の民営化、更に教職員に対する「日の丸・君が 代」強制・処分を含め、これらの本質は明らかに労働者の身分を剥奪し、不安定 雇用に落としいれ、総賃金を減らす、そして当面は大阪市のことも含め「労働組 合潰し」「労働者の団結潰し」に集中されている。
 国鉄民営化、郵政民営化も全てこの国の資本・ブルジョワジーが弱肉強食社会 を生き残る為の、施策でしかない、全て資本の論理で動かされているのだ。
 このままで今の時給700円800円が引上げられることがあるだろうか?こ のままでは「これでも高い」として下げられかねない情勢にある。
 労働者がこの階級社会で生き延びる為には、まず等しく安心して「自己再生 産」が出来る賃金が保障されなくてはならない、今の賃金はそれすら保証されて いない、その時、時給1200円を要求するのは誤りである。
 韓国・民主労総は「不安定雇用廃止」のスローガンでゼネストを闘った、「時 給を上げろ」では闘っていない。
 実際の労働の現場では、ニートであろうと、パートであろうと、正社員であろ うと従事する仕事は同じである、最低限「自己再生産賃金」は保証されなければ ならない、年収200万でそれは出来ない、少子化すら防ぐ事は出来ないのであ る。
 「春闘」は大幅賃上げの為にこそある、賃下げや条件ダウンの為にあるのでは ない。