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「組織論・運動論」討論欄

私と共産党の分岐点・・

2006/06/16 音重子 30代 給与生活者(連合系組合役員、社会市民連合代表幹事)

 それにしても、なぜ、こんなことになってしまったのだろう。悔やみはしないが、妙な気分である。

 5年前から、2年前の離党前まで、共産党内統一戦線の急先鋒だったはずの私だが、今や、旧社会党・連合系の共産党批判派の急先鋒のように受け取られる始末である。

 多様な運動(連合系役員と民青幹部、中立系市民運動役員の三位一体)に足を掛ける方式が必ずしも奏効しなかったということはあるかもしれない。結局ハザマで悩まされた。

 現在は社会市民連合として、市民派・住民運動の課題を連合・自治労仲間にも理解していただき、協力していただくことを柱としている。保守とも連携する構えだ。

 できれば、共産党の皆さんとももっと協力していきたい。しかし、一部幹部は私を嫌っておられる状況で難しいものがある。

 さりとて、直言を止めるのも変だ。民主集中制の放棄、唯一前衛党論の完全放棄こそ、同党躍進への第一歩であると思う。

 通り一遍の活動ではなく、時代と情勢にあった活動スタイルが必要だ。

 1960年代はそれでも共産党は新しかった。古い組織だのみの自民党や、組織の確立が充分でない社会党に比べて新鮮に映った。

 しかし、いまや、小手先とはいえ、既得権切捨てを自民党は醸し出し、民主党は、ブルジョワ民主主義により、やはり国民を引き付けている。
 国民新党は、ラジカルな反小泉を打ち出し、保守層の同情を得て存在感を出している。

 最低限のブルジョワ民主主義さえない共産党は古い歌に固執する「干からびた歌手」に成り下がってしまった。

 60年代の貯金はなくなってしまった。70年代は既に貯金の費消が始まった。新日和見主義事件で民青幹部を大量粛清し、結果、20万人いた民青は、今や2万に激減である。お前はちょっとでもちがっているから怪しからん。こう決め付けて、人々を除名したのである。

 社会党の崩壊で、90年代の半ば持ち直したが、所詮はバブルである。それを勘違いして、政権に目がくらんで筋を曲げたことが衰退に拍車をかけた。一方で、「たしかな野党」というように、「唯一前衛党論」(俺たちだけが正しい)は健在である。

 諾々とこんな状態に従っているわけでは元の同志も思ってはおるまい。そう信じたい。

 しかし、2003年3月の人文字がある種の分岐点になってしまったのは確かだろう。私は、市民・労働者の共闘の広がりに賭け、多くの同志は、共産党の党勢拡大方針(唯一前衛党を事実上維持したままの右傾化による拡大)に賭けたのだろう。

 私は、徹頭徹尾、党利党略を追及せず、反戦世論を広げることに集中した。そして反戦の連合政府をつくることに賭けた。しかし、それは、共産党方針とは真っ向から対立した。アウフヘーベンの余地はなかったのだろうか。

 なぜ、幹部のお偉方は分らないのだろうか、情勢を?

 今や、不破路線は完全に破綻した。議席一桁の政党に転落してしまった。その上、支持者の24%が千葉補選で造反する時代だ。

 社民党との得票数の差もだいぶ縮小してきている。広島では、社民党に共産党は大きく遅れをとることになった。一時は、完全に共産党が上だった時代もあったのにである。

 思い切って造反者で、自由で人々が横に連携する新党を作っても良い。

 26万人の党費納入党員のうち、62400人(24%)が新党をつくる。
 共産党のようなうるさいことは言わないので、自由闊達に、今の社民党並に頑張れるだろう。社民党は2万3千党員で370万票。

 この関係をそのまま当てはめれば、1000万票を取れる大政党が出現する。投票率を60%とすれば、8議席を取れる大政党である。
 公明党の7議席を上回る。社民党の3議席(予測)、共産党の3議席(予測)を加えれば14議席になる。かつて、共産党は、比例で8議席のとき、選挙区で7議席取った。だから、新党も同じくらい取るだろう。
 15議席になる。社共とあわせて21議席。これに、民主党が50議席取ればその護憲派3分の1を加えて、38議席。これに新党日本、国民新党のハト派を加えれば、改選議席の3分の1は取れる。衆院選で3分の1の展望は出てくる。改憲は阻止できるし、もちろん、自民党を政権から突き落とせる。

 民主党とは対等な立場で連立すればよい。そして、とりあえず、護憲を飲ませる。改良を勝ち取る一方で自民党を野党に止めてその解体を促す。将来的には護憲vs民主の二大政党ブロックの対決体制に持っていけばよい。

 共産党内で造反していても、なかなか大きな力にはならない。執行部は絶対権力を手放さない。自由闊達な左翼政党が必要なときかもしれない。

 否、志位委員長に申し上げたい。もし、唯一前衛党論を放棄し、民主集中制もやめるという決断をするならば、私はあなたを断固支持すると告げるだろう。共産党に立ち直ってほしいと今でも願っている。私が、命をかけて愛した人のいるこの党に。

 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ではないだろうか。

 民青の若手の諸君には期待している。一人一人を大事にする心を彼らは持っている。大丈夫だ。なんとかなる。そう信じるしかない。彼ら、彼女らはかわいい後輩である。もちろん組合の若手もまた、かわいい後輩である。お互い学ぶ関係をつくりたいのだ。知恵を津会えるべきは伝え、彼ら、彼女らの若さに学びたい。