投稿する トップページ ヘルプ

「組織論・運動論」討論欄

異論こそ、党の財産。『団結と前進』を復刊させて、党内議論を旺盛に展開しよう!

2000/12/1 Red Ken、30代、公務員

久しぶりの党大会での保留
日本共産党の第22回大会で久しぶりに党中央の案に保留が出て、全員一致の可決ではなかったことが伝えられた。つまり、これまで共産党の大会においては、第8回党大会から第21回党大会まですべてが党中央の提案を全員一致で可決してきたわけだが、これは党の中に異論が全くないか、無視できるほどに小さいということを意味してきたのであろうか。
ちょうど10年前、社会主義諸国の崩壊直後の18回党大会時にマスコミなどでも取り上げられたように、また「知識人問題」という名の下に党内でも取り上げられたように、決して異論や反論がなかったわけではない。それではなぜ、表面化しなかったのか。なぜ、代議員レベルにまでいかなかったのか。

党内における小選挙区制
それは、要するに代議員選出までの過程は、事実上小選挙区制の積み重ねであったからだ。ある支部にある程度の異論があったとする。しかし、その異論は、まずその支部で過半数の支持を得て、異論を持つ本人が上級機関の大会(某地区党組織大会)に行かない限り、その段階で消えていくしかない。そして実際、この段階でたいていの異論は消える。運良く、日ごろから文句の多い学者の党組織などで賛同を勝ち得て、上級機関の大会に出ても、そこで賛同者が得られず、消えていくケースも多い。そして、そこを勝ち上がっても、まだ上級機関がある。ということで、党大会代議員レベルでは、そういう異論はきれいさっぱり無くなるというしくみである。
しかし、これは、共産党自身が国政では批判している小選挙区そのものではないだろうか。共産党は国政では小選挙区制は民意が反映できないとして批判しているにもかかわらず、党内ではそれを事実上少数異論の撃退に使っているともいえる。

支部内のみの民主主義
共産党には確かに民主主義はある。形式的な手続きという点では、遅れた日本の諸政党の中であるから、ましなものと映っておかしくないだろう。しかし、それは党内民主主義ではない。せいぜい、支部内民主主義である。確かに、支部の中では何でも言える(それでも、異論を言っただけで反党分子と言ってくる馬鹿もいるが)。しかし、そんなものが党にとって何程の意味を持とうか。
それでは、自分の異論を党内において影響力を持たせようとすると、どういう行動がありえるか。それは端的に言って、横の連絡を取り合って影響力を拡大するか、党の外部、つまりマスコミなどにアピールするしか方法はない。
しかし、知っての通り、前者は分派活動として批判を受けることは必至であるし、リーダーシップを取った者は除名を免れないだろう。後者は、やれば即除名である。
かくして、共産党は、民主集中制を支部内民主主義と党全体における集中制に転化してきた。これによって、党中央が意図したわけではないと思いたいが、これまでほぼ完全に異論は表面化する前に押え込まれてきた。

異論こそ党の財産
しかし、これは共産党にとって実は不幸なことである。異論は常に党にとって危険なものという党員不信を持っているなら話は別だが、今現在、党員として活躍している同志たちは約40万にのぼり、社会の各方面・各階層で活躍している。そこでの経験と蓄積を集約できるなら、党にとっても財産であるはずである。そして、そこでの経験と蓄積を党の躍進に使う気があるならば、異論は危険だなどと思わず、もっと旺盛な議論を闊達に行う基盤を作るべきである。具体的には、党内横断的な討論誌(かつての『団結と前進』のような)や赤旗紙上での党員や支持者たちによる議論を闊達に行うべきである。
本来、私のように、党員でありながら斜に構えている人間は、異論があったからといって、危ない橋(分派や党外での発言)などやっかいなので渡らない。それをあえて渡ろうとする人の情熱や良心を疑ってはならないし、その彼らに発言の場を与えないことによって、彼らを分派主義者にしてしまってはならない。彼らこそ党が守るべき財産である。そのためには、「意見の違いで排除してはならない」という原則論でなく、それを保証する場を具体的に設けるべきである。

異論がないプロセスは無党派を蹴散らす!
最後に、共産党は近年無党派層との連携をうたっているが、その無党派層の一番嫌いなことは組織内の風通しの悪さである。結論的にとった政策が正しいかどうか、成功したかどうかよりも、そのプロセスこそを無党派で意識の高い人々は見ている。たとえ、いい政策(残念ながら私は今の共産党の政策が良いとは思わないが)でもトップダウンで決められたものを無党派は嫌うのである。だから、たとえそのプロセスで党中央が批判されたり、混乱があっても、プロセスをオープンにすることの方が無党派層をひきつけることになるのではないか。また、その方が党内が活性化されるのではないであろうか。

* バックナンバーをしっかり見る時間がありませんでした。既出の論点であったら、ご容赦いただきたい。