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「組織論・運動論」討論欄

サザンクロスさんへ

2001/7/28 浩二、40代

 2001年7月26日付、サザンクロスさんの『党内選挙制度は、小選挙区制よりも非民主的』に対してです。

 伊里一智氏の事件を具体例として指摘されるなど、非常にわかりやすい説明で、大変ありがとうございました。
 私が日本共産党の党内選挙制度の非民主性を知ったのは、吉野傍さんのこのコーナーへの投稿=1999年6月22日付『少数意見を反映させるシステムを>へそまがりさんの提起に答えて』によってでした。
 吉野傍さんはこの投稿の中で、「日本共産党の党内選挙制度は大選挙区完全連記制である。大選挙区完全連記制は史上最悪の反動的選挙制度である。この選挙制度は、白人が黒人を一人も議会に送らないようにするため、アメリカでかつて採用されたことのある選挙制度である」と指摘されました。
 しかし私はこれまで、大選挙区完全連記制の「完全連記制」という部分にだけ目が行き、「大選挙区」という部分を無視しました。日本共産党の党内選挙制度が大選挙区であることを、私は完全に無視しました。
 この問題、最近JCP-Watchで話題になりました。吉野傍さんの投稿も引用されました。そしてサザンクロスさんの今回の投稿。日本共産党の党内選挙制度が小選挙区制よりも非民主的であるのは、完全連記制が採用されていることもさることながら、元凶は大選挙区制であること。このことを私はようやく理解することができました。
 つい昨日まで私は、日本共産党の党内選挙制度は大選挙区制ではないと錯覚していました。支部総会とか地区党会議とか、それらはいずれも大選挙区制ではない。だから日本共産党の党内選挙制度は大選挙区制ではないと思い込んでいました。多段階選挙であることはわかっていたはずなのに、個々の選挙(支部総会など)にとらわれたため、こんなふうに錯覚しました。
 なるほど、よく考えてみれば、サザンクロスさんの書かれているように、日本共産党の党内選挙制度は大選挙区制ですね。上りの各段階それぞれ(支部総会など)はたしかに大選挙区制ではないが、都道府県党会議は大選挙区制である。都道府県党会議は、かつての参院選全国区ほどの大選挙区制ではないが、都道府県がそれぞれ一つの選挙区ならば、それは大選挙区制である。しかも、都道府県党会議という大選挙区制において完全連記制(1人100票方式)が実施されている。
 これはもう大選挙区完全連記制そのものです。小選挙区制の反動性どころの騒ぎではありません。
 人種差別が今では考えられないくらいあたりまえだったアメリカにおいてさえ放棄せざるを得なかった超反動的選挙制度=大選挙区完全連記制。これが現在の日本共産党において採用されている。そのくせ日本共産党は、「党内の選挙は民主的だ」と、ことあるごとに宣伝している。
 大選挙区完全連記制の超反動性なんて、マスコミは全然書きません。日本共産党の偽りの宣伝が偽りと認識されないのも仕方ないことかもしれません。大選挙区完全連記制の超反動性なんて一言で説明できる代物ではない。説明し始めたらゴチャゴチャ言うしかない、うっとうしいにもほどがある。なにはともあれ全党員が選挙に参加している、それでいいじゃないか、と思考停止になっているように思います。

 日本共産党の選挙制度が大選挙区完全連記制であること、大選挙区完全連記制の反動性は小選挙区制の比ではないこと。この事実は党内に おいてはどれほど認識されているのでしょうか? 私はおそらく、それほどクリティカルには認識されていないと思います。というか、選挙制度云々以前に、小数派が党大会に出られないこと自体、さほど怪訝の目を持って見られてはいないでしょう。「小数派が党大会に出られないのはあたりまえだ。小数派は何度もフィルターにかけられてふるい落とされる。日本共産党にあって、これは仕方ないことだ」程度に認識されていることでしょう。

 私が杞憂するのは、将来政権を取る?であろう日本共産党が、国政選挙に大選挙区完全連記制を採用することです。選挙区を都道府県でひとつ にする、あるいは全国でひとつにする。有権者は定数いっぱい投票できるようにする。大選挙区完全連記制です。しかし、大選挙区完全連記制の 超反動性なんて有権者はほとんど知らない。「定数いっぱい投票できるなんて、すばらしいじゃないか。これまでは1人1票だったのに、今度か らは1人で100票投票できる。いいことじゃないか。これまで以上に民主的じゃないか」と、きっと思われるに違いない。
 これに対し、大選挙区完全連記制の反動性を説明するのはまことにわずらわしく面倒くさい。小選挙区制がよくないという認識がけっこう広範に行き渡っているところに「大選挙区制にします」と言うだけでも結構賛成の声があがるだろうに、その上さらに「1人で100票投票できますよ」と来る。こうなればもう、「大選挙区完全連記制の、いったいどこが反動的なんだ!!」と反発されるのが必至でしょう。巷に大選挙区完全連記制反対の声がワンワン起きるのは、実際にやってから、です。実際やってみて、結果のあまりな悪辣さに誰もが気づいてからです。しかし、……、それでは遅いのでは ないか、後の祭りではないか?
 この想像、果たして本当に杞憂でしょうか?

 日本共産党の党内選挙制度が超反動的なのは、まことに地味でわかりにくい話です。しかし、日本共産党が本当に民主的な政党かどうかは、党内選挙制度によっても判断されなければならないはずです。いつの日か、この話題をマスコミが大きく取り上げ、日本共産党が党内選挙制度を改革せざるを得なくなる、その日の来ることを私は待ちたいと思っています。