投稿する トップページ ヘルプ

「組織論・運動論」討論欄

私も同感です>CHAさんへ

1999/6/6 吉野傍、30代、アルバイター

 CHAさん、私も学生時代は中央の指導部に忠実でした。卒業間際ぐらいになって、ようやく特定の方針をめぐって指導部への疑問を持ちましたが、基本的な点(綱領および規約)ではまったく疑っていませんでした。あの有名な伊里一智氏が宮本勇退勧告ビラを大会会場前で撒いて除名になったときも、そんな反党分子は除名されて当然と思っていました。
 卒業してから、いろいろな出会いや、スターリン主義に関するさまざまな本(メドヴェージェフの『共産主義とは何か』とか、渓内謙氏の諸著作とか、ドイッチャーとか)を読む中で、指導部の姿勢や方針について抱いていたばらばらの疑問がしだいに一つの体系をなし、それが基本的にはスターリン主義の問題であると考えるようになりました。
 時代が1960年代や70年代だったなら、もしかしたら党を離れて別の党派に移っていたかもしれませんが、私がスターリン主義の問題に目覚めたときには、新左翼党派はいずれも内ゲバ派に堕落しているか、さもなくば極小勢力に落ち込んでいました。結局、共産党にとって代わる大衆的な左翼政党は存在せず、既存の党派のほとんどは、党内民主主義の点でも、人間性という点でも、あまり魅力を感じませんでした。
 我こそは絶対に正しく真に革命的である、日和見主義(反革命)に堕落した日共を打倒せよ、と呼号するスタイルは、まさに私が党内で嫌悪感を持って拒絶したあのスターリン主義の最悪のタイプをあまりにも彷彿とさせました。
 それゆえ、私は結局、党内にとどまり、粘り強く党を内部から批判し、周囲の党員たちに別の見方・観点を提示し、自分の頭で考えてもらう道を選択しました。もっとも、どうしようもないゴリゴリの中央信者にぶつかると、今でも精神的にまいってしまいますが。
 しかし、自分もかつては教条派の党員だったのだから、それがこのように変わっているのだから、他の教条的党員も変わるかもしれないという希望は捨てていません。今現在いちばん恐れているのは、党員の政治的自覚が育つ以前に、不破-志位の指導部が共産党を完全に変質させ、社会党と同じ道を歩ませてしまう可能性です。そうさせないためにも、一人でも多くの党員が声を上げるべきだと思っています。
 あれこれの政治課題の重要性や大衆運動の忙しさを理由にこのことをなおざりにするのは、絶対に誤っています。10年後に現在を振り返って、あのとき自分は本当になすべきことをしたのか、指導部の右傾化を知りながら、それを放置していたのではないか、十分に警告を発しなかったのではないか、という後悔をしないためにも、今できることをすべてやるべきだと思います。
 私の周囲にも、共産党の現在の路線に批判意見を持ちながら、結局何もやろうとしない党員が大勢います。彼らはみな立派な言い訳を1ダースばかり持っています。彼らは、根拠のない悲観論と根拠のない楽観論との両極端を行ったり来たりしています。根拠のない楽観論とは、どうせ何をやっても変わりはしない、自分など無力だから結局無駄である、というものです。根拠のない楽観論とは、自分が何もしなくても、なんとなく指導部はいずれまともになるんじゃないか、いずれ右傾化路線はどこかで歯止めがかかって元に戻るんじゃないか、というものです。どちらも誤っています。確定的な未来は存在しません。ゆらゆら揺れている巨大な天秤において、自分の全体重をどちらの秤に載せるかは、天秤の傾きを決定する一つの要因となるのです。
 投稿という形で声を上げたCHAさんの勇気に、心から連帯します。