入一さんから、討論の前提として第8回大会以後の基本路線の原則的な堅持という提案がありましたが、私はこのような枠ははめない方がよいと思います。
なぜなら、私は二段階革命論こそが近年の党の右傾化を招いたのであり、ここを突破しなければ真の革命政党としての再生はありえないと考えているからです。
私は以前、党指導部の右傾化は綱領路線からの逸脱であり、「日本改革の提案は綱領路線を具体化したもの」との説明はゴマカシであると考えていました。
しかし、最近は「綱領路線の具体化にすぎない」という党指導部の説明がもっともに思えてきたのです。第8回大会で確定した綱領路線自体に右傾化を招いた論理的な根拠があったのではないか、ということです。
二段階革命論についての疑問は、何回かに分けて投稿しようと思っていますが、今回は、いわゆる「革命の段階的発展」についての疑問を述べたいと思います。今後引き続き、革命権力の階級的性格の問題、二段階革命論と度はずれた議会主義との関係の問題、統一戦線戦略の歪曲の問題などについても意見を述べていきたいと思っています。
なお、念のために私の立場をあらかじめ結論的に述べておけば、社会主義の建設以前に対米従属の打破と反独占民主主義の実現という課題を実行しなければならないとしても、革命は本質的に一段階であるというものです。
(1)いわゆる「革命の連続的発展」について
綱領は、社会主義の建設に本格的に取り組む以前に、対米従属の打破を含めた民主主義的な変革を実行する課題を独自の革命段階=新しい、人民の民主主義革命の段階の任務として規定しています。
これは民主主義的な課題の実行を社会主義的な課題の実行と無理やり切り離し、前者を独自の革命段階にまで高めてしまったものだと思います。
私はこの切り離しが、社会主義建設の課題を無限に遠い未来に追いやった上で当面の「民主的改革」の問題のみを云々することを可能にしているのではないかと思います。
※ちなみに不破氏は、このことを「党綱領の戦略的展望が、当面の政治革新の課題にとりくむうえでの一貫性と安定性を保証している」(『綱領路線の今日的発展』下巻95ページ)と誇らしげ に語っています。
さすがに以前は「民主主義的な課題と社会主義的な課題との間に明確な境界線は引けない」といった類の弁明じみた説明がよく聞かれたものでしたが、最近はまったくといっていいほど聞かれません。
さらに言えば、二つの革命は客観的に連続する性質を持つとされながらも、「国民の意思」としては連続していないとされていることが問題です。これは「国民の合意で一歩一歩」という形で近年ますます強調されるようになってきましたが、このことが「二つの革命」を切り離して捉える傾向に拍車をかけていると思います。
※なお、ここで「国民」という言葉が使われることも非常に重大な 問題だと思うのですが、これについては近いうちにまた論じたい と思います。
結局のところ、綱領の二段階革命論は、労働者階級が国家権力を握っているが社会主義の建設をはじめていない段階を、社会主義革命の段階と区別して一つの中間の段階における段階として規定したものであると思います。
本質的には一段階の革命が、二段階の革命であるかのように解釈され、権力の機能の変化にすぎないものがさらに新しい革命へと連続的に発展するかのように解釈されているのです。
※ご承知のとおり、綱領においては民主主義革命の段階の国家権力を「人民の民主連合の権力」とし、社会主義的変革の段階の国 家権力を「労働者階級の権力」と規定しているわけですが、これも正確ではないと思います。次回はこの問題について意見を述べたいと思います。