私は入一さんがおっしゃるような、綱領や規約に関して検討する際、第8回大会以後の基本路線を前提とするべきだ、という見解には反対です。なぜなら、一般的にいって、前提が間違っていると、どんなにがんばっても正解に到達することはないし、むしろとんでもない結論に達する危険性があるからです。これに関しては、科学の歴史を繙けば多くの具体例を見出すことができます(例えば、天動説を前提としていたために考え出された周転円やエカントなど)。今の日本共産党はまさに前提そのものが誤っているために、とんでもないことを平気でいえるようになっているのだと思います。
こんなことをいうと、おまえは綱領や規約の要諦を認めていないのだから、党員としての資格はない、といわれるかもしれません。しかし、たとえ綱領の根幹に関わる問題であっても、これを検討の対象から外すならば、これは結果的に共産党無謬論につながります。党員が綱領・規約の根幹に対して批判的検討を加えることができないのであれば、その根幹が誤っていた場合、どのようにしてこれを訂正するのでしょうか。訂正する手段はないことになります。入一さんの立場では、「根幹が誤っている場合」を論理的に否定していることになるのです。
真理に忠実であれば、日本共産党の性格自体が変更されることを、何らおそれる必要はありません。私はもともと現在の日本共産党に「革命理論」と呼べるものは存在していないと思いますが、その自称「革命理論」の一部をいじくるからこそ、一貫性・整合性がなくなるのです。全面的に見直せばいいのです。「一種の解党論に行きつく」との危惧は、まったく根拠が分かりません。もう少し説明してもらえると助かります。
私はこの討論欄で、革命・権力・独裁などの概念について、本質的な論が展開されることを期待しています。第一歩を踏み出された革命的反対派さんの論の続きは楽しみにしているところですし、私自身も、自らの実力で綱領・規約が創れるように、勉強を続けたいと思っています。