小泉首相が訪朝した。日本人の関心の重要なひとつだった拉致疑惑について、それが朝鮮民主主義人民共和国の一部の者の犯行と、金主席が認め謝罪したが、横田めぐみさんはじめ数人が死亡していたことがあきらかになった。
さて、ここからである。日本国内の内政にあれだけ失政続きで国内経済は破滅的だった小泉首相は、この外交戦術で一気に国民的支持を集めようとしている。
これから参院選や衆院選の補選があるが、自民党中心に余与党は一気にイデオロギー心理戦によって、「カミカゼ」を吹かせようとしている。断っておくが、横田めぐみさんはじめ拉致されたかたがたと逝去されたかたがたをどうでもいいなどとは全く想っていない。そこをごっちやにして、右翼繁民主主義勢力の手も借りて、一気にうってでる戦術だろう。
思えば9・11アメリカ中枢の爆撃は、世界中の憎しみを使い、一気にアフガン侵略をおこなう絶好の理由とされた。そしていまでもアメリカブッシュ政府は、あのあおりでイラクをも着々と侵略遂行をとげようとしている。
国内ですら、あの爆撃にはしだいにと重大な疑惑が浮上してきた。あれだけの何機もの爆撃をしかける情報を事前に察知しながら、アフガン攻撃のために、うまく利用しようとしたという驚愕的な情報がアメリカ政府周辺から出てきている。
今回の訪朝は、ブッシュがイラク攻撃を決行するために、緊張状態が続く北朝鮮との緊張を緩和して、一気にイラク攻撃を徹底的にやってしまおうという戦略であることは、多くの識者には見透かされている。この後、ブッシュがどういう戦争攻撃を実行するかとしないか、それを見れば、このブッシュ=小泉ラインのねらいが見えてくる。
あれだけ9・11事件の後に世界が軍拡支持に回って、いまでは逆に多くのかつて賛成した国家ですら、ブッシュ政権のあまりに軍事政策のオソマツな拡張路線に二の足踏んでいるときに、日本では小泉純一郎氏が、唐突に北朝鮮を訪問して、それで選挙には勝つ、イラクは破滅的に駁撃されるでは、日本人の政治感覚が疑われるばかりか国際的な笑いものとされるだろう。
私は日本共産党がどういう対応をしようが、関心はない。国民の圧倒的良識が、拉致問題についても道理にかなった対応を志向するとともに、いま何が根本的に危機に晒されているのかを的確に見定め、それに対応した政治戦略をとらないと、またもや「小泉ブーム」ないしは奥の手の「慎太郎ブーム」で、日本の右傾化はとりかえしのつかない地点まで腐朽する惧れが出てきた。
本質的政治の構図を見取り、堂々と反戦平和を掲げなくて、なにが反戦平和の闘士といえるのだろうか。