この選挙制度は、現行の『小選挙区比例代表並立制』の欠陥を取り除く、という意味で何度か紹介して来ました。
この選挙制度は、比例代表制を基本として、政党得票率と獲得議席率を一致させ、小選挙区を組み合わせることにより、落選させたい候補を排除しやすくする特長があります。
『小選挙区比例代表併用制』は、小選挙区の第1位は当選で、比例代表部分は、政党ごとの得票率に応じて議席を振り分けます。比例代表部分で、政党が確定した議席から、小選挙区で当選した人数を引いた分が、追加議席となります。
『比例代表の政党獲得議席-小選挙区の当選者=追加議席』
この仕組みでも、色々問題があります。
・小選挙区の当選者が、比例代表の政党獲得議席より多い場合、その分が超過議席となって本来の政党獲得議席を越える。
・小選挙区で、当選者を多く出すと、頑張った分だけ、追加議席が減らされてしまう。
・小選挙区で、議席を獲得できなかった政党ほど、追加議席が多いという矛盾がある。
・比例名簿を政党が作成すると、政党の権限が強くなり過ぎてしまう。
これらの問題は、選挙区では当選者を出さない、比例名簿は、選挙区の得票率順に並べる事で、解消します。
仕組みをまとめます
・投票は、2票制で候補者と政党に1票ずつ投じる。
・投票は、候補者と政党が別々でも可能
・選挙区での、当選は無し
・比例代表部分で各党の獲得議席を決める。
・名簿順位の条件で、候補者の当選順を決める。
①小選挙区での1位候補を得票率順に並べる
②次に小選挙区での2位以下の候補を得票率順に並べる
・原則、比例のみの候補は認めない
・全体の1割程度を自由枠として政党で名簿を作成できる
・政党の獲得議席以下しか候補者を立てなかった時は、それ以上議席を獲得できない。
・政党が獲得できなかった分は、他の政党に分配される。
・無所属候補は、無所属の会派として扱う
・小選挙区の数以上議席を獲得した分も、自由枠として政党で当選者を決める事ができる。
後、問題なのは、小選挙区をいくつにするかと言う事でしょう。
小選挙区で1位候補は、当選させやすく、2位以下の候補は落選させやすくしたい訳です。
そのように考えると、1位候補と2位以下の候補の比率は、1対1が最も理に適っていると考えます。
現在の衆議員を例に取ると、定数が480なので、小選挙区は240にすると、最もバランスが取れている、と考えられます。
仮に特定政党が政党票で250議席獲得したとします。
240の1割の24議席が自由枠(小選挙区併用候補)
240-24=216議席が名簿枠(小選挙区得票率順)
250-240=10議席が自由枠(小選挙区非併用候補)
250議席の内216議席が名簿枠になり残り34議席が、
政党の自由枠となります。
政党は、最大240人まで候補者を選挙区に立てれば良い。
自由枠は、党首やどうしても当選させたい候補者を、振り分けるような使い方になるでしょう。
これにより『候補者を選ぶ選挙』『落とす選挙』『公平な選挙』が同時に可能になります。