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「現状分析と対抗戦略」討論欄

日本の現状と課題 その10 ・・・日本とイギリス・・・

2003/8/20 結城克也、40代、工場労働者

 職業を会社員と書いていましたが、工場で働いているので実態に近くしました。

 日本の改革はバブル崩壊以降長年の議論に対して、実行は非常に少ない。何故か? 大きな改革を実行出来ない理由は何か? 
 これとよく似た状況が今世紀の初めのイギリスに起こっている。以下は「大英帝国衰亡史」(中西輝政著)の受け売りである。大英帝国の立て直しに決定的に重要だと思われた時期は1890年から1910年の20年間。そのときイギリスでは政治改革、行政改革、経済改革が叫ばれ、喧喧囂囂の大論争が行われ、しかし有効な手を打てなかったのである。

 歴史上多くの大国が衰退していったが、どの国も自らの衰退に気づき、改革策が繰り返し唱えられるが、結局は没落していく。これは長い間成功を支えたシステムを変えることが如何に難しいからと中西教授は言っている。サッチャーさんは、その点りっぱだったと思う。改革の最初の数年は、スト等もあり社会全体が苦しい時代であり、サッチャー批判もかなりあったが、痛みに耐え改革をやり抜き経済の復活に繋げたからだ。

 日本の場合、上記の理由に加え、規制の多い平等感の強い社会構造が改革をやりぬくくしていると思う。この前、りそな銀行への公的資金注入があったが、銀行の延命策は競争力のない企業の延命策に繋がり、新しい産業を育ちにくくする。今「新」生み出さないと経済の本当の意味での復活はない。公共事業もそうだ。リターンの少ない投資に資金をシフトし続けると国はどんどん衰退する。
 大きな改革で産業の新旧交代を押し進めようとすると、一時的な失業率の向上等受け入れなければならない。日本というのは失業に対して非常に抵抗感の強い社会であり、「弱者切り捨て」「弱いものいじめ」等反対論が沸騰する。
 又総論賛成でも自分自身の既得権を失う場合は猛烈な反対がおき、なかなか変えられない。みんなの意見を聞いて譲歩を重ねた結論は、玉虫色になり有効な手とはなりえない。次の総選挙では各政党とも改革プランと「痛み」も明確にして、総選挙に勝った政党は、とにもかくにも実行して欲しい。もう時間はないのだから。