続きです。「何故、第一次大戦以降と同じように、第二次大戦の後、経済恐慌が起こらないか?」
色々理由があると思いますが、技術の進歩が次々と新しい需要を創造(例えばクーラー等家電、車、ゲーム等エンターテイメント)し、供給過剰にならなくなったのが一つ。
二つ目は資本主義社会そのものの変化があると思います。ざくっと資本主義は①資本-賃労働関係 と ②市場メカニズム によって規定されるとすると、まず①では資本と賃労働の関係の変化、マルクスや世界恐慌が起きた時代は単なる設備の補完みたいに行われた単純労働では対資本の交渉力を失い長時間労働と賃金抑制を余儀なくされましたが、企業の中で社会に対して価値のあるものを生み出すことが重要になる中、「労働」に豊かな能力が求められます。
そして達成したときの充足感は何事にも変えがたく、仕事におもしろさが出てくる。優秀な人にはヘッドハンティングもあり、起業する人も出てくる等新しい資本-労働の関係が出てきます。多くの人が色々な学校へ行き、様々な場所で働くことにより労働供給量が増え、小金を持った多くの労働者による需要増が出て来ます。
②は世界恐慌後の経済に対する計画性、管理の導入(ケインズ政策、GATT・IMF体制等)があるかと思います。又マルクスは、資本家が利潤の極大化を追求するため、絶えず労働者の賃金を引き下げ、他方では新しい機械を導入することによって労働者を解雇して貧民層を増大するといいましたが、実際には19世紀後半から20世紀に至るまで、技術革新によって新しい設備が導入され、労働時間の短縮、賃金は絶えず上昇、福祉の充実もあり、有る意味では資本主義の社会主義化の側面もあると思います。
今の日本は、純粋な資本主義ではないでしょうね。先日、中国人社員と話しましたが、日本に来て一番びっくりしたのは日本の会社における給料の差の少なさだそうです。彼の職場と同じ規模の部長クラスなら中国なら6倍くらいもらっているのに、日本では同じ年齢なら1.3倍もないのではないかと。
日本では、90%以上の人が中産階級と思っています。貧困層や富裕層は外国に比べ圧倒的に少ない社会です。中国人社員をして日本の方が社会主義に近いですねといわれる所以でしょうか。現在の日本で資金を持っている層は、国民であり日本経済・GNPの60%以上が消費支出です。この消費がなければ不況となります。これが全世界で起こると経済恐慌の地獄1丁目前でしょうか。