まず、冷厳に選挙結果を見つめましょう。
小選挙区では、全選挙区擁立方針によって、300候補全員落選。
有効得票率10%に満たなかった者、小選挙区234人+比例区29人。
没収された供託金の額、7億8900万円。
483.8万票のすべてが死票となりました。
事実上、比例票獲得のため、全小選挙区擁立方針を採ったのですから、有権者とし
ても、自分の票を生かすために、当選しそうな他党候補者に投票しようと考えること
は、当然でしょう。
また、今回、マスコミがあれだけ煽ったにも拘わらず、投票率は、史上二番目の低
さでした。
共社の支持票であった無党派層は、民主党に流れ、自民は、公明に助けてもらい、
公明党の発言力が、ますます強まり、護憲派議員が数多く、議席を失うという結果と
なったのです。
この間の「さざ波」に集われる皆さんのご意見を今一度、見直してみます。
「志位委員長は『方向は正しい』と意欲満々などと救いようの無い事を言っていま す。明らかに『民意を読み違えている』にも関わらず『自分は正しい』と強弁を重ね る・・・」(11/13 鎌倉太郎さん)
「今の共産党の政策や主張は無党派層に全くといいくらい響いていな い。相も変わ らず勝ち目の無い選挙区に泡沫候補を出し続けて大敗している状況から見て共産党自 身も『何が悪いのかつかみかねている』ように私には映る。」(11/19 鎌倉太郎さ ん)
「不破演説は、『限られた支持者向け』から一歩も出ていない。広く無党派に呼び かける姿勢がそもそも欠落しているのではないか?少なくとも民主党は国民目線で活 動していた。」(11/12 無党派常識人さん)
「比例票稼ぎのための小選挙区擁立がミエミエ。土井さんの選挙区では共産党が立 てなきゃ土井さん逃げ切ったんじゃない? 」(11/14 GGレモンさん)
「今回の選挙で、党は、護憲の展望を開けたのですか?それが全てです。」「消費 税増税をやられたら商売できないし、イラク派兵にも反対だが、共産党には入れな い、という自営業の方を身近に知っています。」(12/2 ecologosさん)
「もっと柔軟な選挙協力ができなかったのですか?」
「公明党が自民党とやっているように、小選挙区は民主党に票を回すから、比例選 では共産党に民主党支持者の票を回せよ…。これぐらいの柔軟性とずる賢さを持ち合 わせ、人間的魅力のある指導者、たとえば、ユーロ・コミュニズムを提唱した旧イタ リア共産党のベルリングエル氏のような指導者が党幹部に登場したら、共産党は甦る でしょう。」(11/11 オリーブの木さん)
等など、お怒りと憤りを感じさせるご意見が多数であると考えます。
また、獏さんのように、「老人党、マルクス」などと、党に対する抗議の一票を投
じられた方もおられましょう。
もし、私が党員でなければ、獏さんと同じような行動をとっていた可能性が高い、
ということも付け加えさせて頂きたいと思います。
まあ、私だったら、「マルクス」ではなく、「坂本龍馬」と書いたでしょうが…。
原さんは「5、小選挙区100%死票の罪とセクト主義」という項目の中で、
「死票がでたのは小選挙区制という制度の問題でもあるが、しかし全選挙区に候補 者を立て、同じ護憲派として共闘すべき他党派議席(兵庫7区、土井)を失うことに 一役買い、改憲派を増やし、己が得た票をすべて死票化したのは小選挙区という制度 の問題ではあるまい。比例票を増やす目的で全小選挙区に候補者を立てるのは今回の 選挙では愚策中の愚策、セクト戦術であり、根本的な誤りであった。」
「共産党首脳の答を聞くとどうもこの党の首脳は議会制民主主義を理解しておらず 戦前の世界に生きているような印象を受けるのである。」(11/16)
「『国民の立場に立ったもの』であっても、国民の支持を得られなければ、その政 策は時宜にかなっていないのである。共産党はこれが分からない。いわば政治のリア リズムが全く分かっていない。」
「国民の立場に立った政策を訴えていれば、票が向こうから自然にやってくるわけ ではないことを知る必要があるのである。」(11/18)
とまで仰っておられます。
これら皆さんの声は、
1.「国民の声」にかなった方針・選挙対策が取れていない。
2.全小選挙区擁立方針は、結果としても、「大義」(護憲・イラク派兵反対)に背
くことであった。
3.中央は、真摯な反省がない。
ということにおいて、共通するように思います。
これらは、相互に深く関連しており、単独で解決できるものではありません。
従って、根本的には、最も投票したくない政党として、常に一位に挙げられる共産
党としては、「開かれた党」にならなければならないということが当然のことではあ
りますが、その嫌いな理由として、「独善性」ということを反省しなければ、それこ
そ、「立ち枯れ」る前に、国会議席0という事態もあり得ることです。
現実に、このままの選挙対策では、来年の参議院選挙で3議席という予測を、各マ スコミが出しております。本当に真摯な反省と、かぎ括弧なしの正しい方針が打ち出 されなければ、比例区の投票もさらに減る可能性は大きいと考えます。
志位氏も認めるように、この間、相当数の批判の声が寄せられた模様で、中央は、 10中総で、「おわび」と「反省」を、一応、述べましたが、党外の方の誰にも判る ような、責任の取り方(=辞任)については、「一切出なかった」そうです(市田氏 ・毎日12/4)。
しかし、来年の参院選の方針として、絶対目標を改選8から5議席に引き下げると いう「現実的」数値を挙げ、現職3人を外したということに、どうも、市田氏は、必 ず当選させるという「目的」を絶対化したように、私は、感じます。
覚えておられるかもしれませんが、参院選は、前回、非拘束名簿式と変わり、あの
筆坂氏よりも、紙智子氏の方が、上位、第一位で当選しました。
初めての投票方法にも拘わらず、国民は、この方式を、ちゃんと理解していたこと
が証明されたのです。
敢えて知名度の有る現職3人を外し、前職と新人とに代えたことの意味は、「不破
・志位・市田」体制は、絶対に変えないという固い意思表明であると私には思えま
す。
消費者の目線を忘れた「雪印」の例えを用いるまでもなく、有権者の意識を侮れ ば、今回の再現、あるいはそれ以上の事態ということが手に取るように見えるような 気がします。
私は、先日の投稿後に、不破氏の「問題提起」を読み、アンクル・トムさんとは、 別の意味で、驚きました。それは、もちろん、「敵ながら、公明の選挙協力のあり方 を、ある意味、見習ってもいいのではないか。ただし、協力相手になる党があればだ が…。」と以前から述べていたからでした。
「他山の石」との表現がどうかは別として、小選挙区における選挙対策を一般論と してではなく、それこそ、各選挙区の状況、候補者の知名度、比例区や他党との関 係、国民の声、主体的力量等々を、きちんと精査して、候補者を絞り、擁立する方針 は、考えられてしかるべきであると思います。
また、没収された供託金の7億8900万円という額は、どれだけの赤旗とカンパ に値するでしょう。中央には、購読者、支持者の方々のみならず、お願いし、また自 らもカンパしてきた末端の党員のことも、本当に考えてもらいたいと思います。
私は、原さんの戦略に対して、「まだ、消化不良ですが…。」 と述べさせて頂き ましたが、それは、比例議席80削減という民主党の「マニュフェスト」の下で、彼 らに、政権を「押し付け」ることと、現に差し迫った危機にさらされている末端労働 者、ホームレス、零細企業などの方々に対する現実的対策という問題を憂慮すること から来ています。
原さんでしたら、この辺りのことをどのようにお考えられますでしょうか。ご意見 を伺いたく存じます。
また、全選挙区擁立という「愚策」を改めることは、当然ながら、「『さざ波通 信』編集部は兵庫一区をなぜ論じない?」と題され(11/25)、新社会党の無党派候 補について論じておられました9+25さんのご意見なども踏まえて、社民党・新社 会党との連携(イラク派兵阻止、原水禁世界大会等の共同行動を含めて)を考えるべ きであろうと思っています。
社民党大会で表明されていましたように、同党にも、民主党との合同を主張される
方々もおられます。
しかし、選挙前の「朝日」の政策分析などを待つまでもなく、誰が考えても、社民
党の政策は民主党の政策よりも共産党と近いわけであって、今一度、互いに「統一戦
線とセクト主義」のダブルスタンダードをよーく考えてもらいたいと思っています。
このイラク派兵が、現実のものとなりつつある中で、「大義」は何なのかを、両党 に、今一度、よーく考えてもらいたいと思うのであります。
先日、こちらの方でも、集会が行われました。参加者は、流石に以前より増えてお
りました。
「連絡会」という形で、若干では有りますが、広く呼びかけた効果もあるのでしょ
う。
私自身は、「ちひろ美術館」からダウンロードした「NO WAR」のステッカー
を印刷し、それを掲げながら、道行く人々に、派兵反対の呼びかけとビラの配布をし
てきました。
「みんな、自分にできることをやればいい」と、私は思います。
情けないことは、このような情勢と末端の党員・市民が頑張っている中、あろうこ
とか、赤旗記者が、「盗撮ビデオ事件」を起こしていたことであります。赤旗の記者
であれば、本部職員扱いでしょう。
どういう感覚なのか、私には、解らない。
作家、森村誠一氏とともに「悪魔の飽食」の取材に携わり、その後、「日本の暗 黒」連載問題等で除名された下里正樹元赤旗記者のことなど、彼の脳裏には微塵も浮 かばなかったのでしょうか……。
なお、不破氏は「他山の石」という言葉をよく使うようです。私は、氏の発言に は、穿った見方しかできなくなりましたが、元来は、
「他山の石以(もっ)て玉を攻(おさ)むべし(「詩経‐小雅」による) よその 山から出た粗悪な石でも、自分の玉をみがくのに役だてることができる。転じて、人 の誤った言行も自分の修養の助けにできる。」(国語大辞典・小学館)
ということであり、「謀略性や不法性」の方こそ「他山の石」として、斯様なことの 決してないように、自分を戒めてもらいたいと思っています。
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補足と訂正。
私は、以前、「レーニン主義と呼ばれるものに、…否定的側面を見ます。」と述べ
ましたが、それは、その言葉どおり、「否定的側面」であって、全面否定すべきなど
とは、まったく、考えておりません。
レーニンは、まさしく、戦乱と貧困と抑圧というロシアにおいて、現実的、実践的
な革命の指導者であったであろうと私は認識しております。
しかし、レーニンは「超人」ではなく、まさに、人間・レーニンであって、かよう
な、いわゆる「革命的情勢」における、彼の功績とは別個に、その「否定的側面」
は、現代に生きる私達が、考え、活かしていかなければいけないことだろうと思って
おります。
どなたかが語っておられましたが、スターリンでなくとも、レーニン以後の指導者
たちが弁証法的思考の持ち主であり、自由、民主主義、人権などに対する深い理解を
示せていたならば、また、「社会主義」国と呼ばれて来た国々も、異なった発展をし
ていたであろうと考えております。
歴史に「たら、れば」はないからこそ、社会主義論を語らねばならないと考えてお
ります。
しかしながら、憲法制定から60年近くもなる、この日本においてさえ、私達が、 今更求める必要もない筈の「民主化」を、『この党』に求めなければならないという ことの現実と、これ程の惨敗に対する党中央指導部の「選挙総括」の不十分さを考え るに、「革命的前衛党」という組織体質は、「前衛」という文言の、表面上の削除と は裏腹に、ほんとうに「病的にまで深く沁み込んでいるのだなぁ…」という諦めにも 似た、妙な『感慨』に耽ってしまうのであります。
なお、以前の投稿で、「ヴェトナム民主共和国は…」と書きましたが、ヴェトナム
は、1975年4月のサイゴン陥落後、翌76年6月、「ヴェトナム社会主義共和
国」を宣言し、現在に至っております。
ここに、訂正させていただきます。