私の投稿へ感想を寄せていただきありがとうございます。
「国民を痛い目にあわせる」というのは、私の主張するところではありません。私も
含めて、国民はすでに十分痛い目にあっているのではないでしょうか。
国民は、十分痛い目にあっているからこそ、政治の現状を変えることを求めて、民主
党を比例区第1党に押し上げたのではないでしょうか?
以上のような認識を前提として、私の主張の中心は次の点にあります。
日本共産党は、民主党を比例区第1党に押し上げたという事実のうちに国民の政治改
革への願望を認め、その願望を実現するために、できるだけ可能な選挙戦術を採用す
るべきだということです。
その結果、仮に民主党政権が実現したとして、国民は民主党政権の政治を体験するわ
けですから、その体験(すでに十分痛い目にあっている現状が改善されないであろう
それ)から、自らの政治改革への願望と照らし合わせて、国民は新たな政治改革へと
前進していくことになると、私は思うわけです。
日本共産党は、このような国民の政治改革への願望を方向を見誤ったものとしてとら
えており、真の政治改革はわが方にありとして、国民を政治宣伝で説得して1票を獲
得する努力をしています(全選挙区立候補)が、しかし、レーニンを引用したように、
現在の国民の政治改革への願望は政治宣伝によって克服することはできないのであっ
て、国民自身の政治的経験だけが、その克服を助けることができるのです。
なぜ、日本共産党の政治宣伝では克服できないのかを具体的に考えてみましょう。
第1に、社会主義諸国の崩壊により、社会主義・共産主義政党の評判は歴史的に見て
も最悪の状態にあること。第2に、それに加えて、北朝鮮問題の悪影響が加重されて
います。第3に、社会主義国と見られている中国においても、社会主義国の看板であっ
た計画経済から市場経済への移行が進んでいます。このようなわけで、国民は共産主
義の理論や言い分は、それらを信用するのが不思議なほどの社会環境に置かれていま
す。従って、第4に、国民は日本共産党に政権を託すのはもちろんのこととして、政
治改革への願いを託そうとも思っていないのです。せいぜいのところ、政治腐敗に対
する監視役を認めるのであれば良い方だとしなければなりません。
このように断定するのは、現在の自民党政治が不況を克服できず、財政破綻寸前にあ
り、高失業率、医療費値上げ、さらには、年金改悪、消費税値上げをねらっている現
状にあるとき、それらに反対する日本共産党ではなく、消費税増税を公約する民主党
に国民は1票を投じたという事実があるからです。そして第5に、日本共産党が、歴
史的な反共風土や党自身がかかえる様々な理由により、嫌われ者の第1党であること
を、今日においても、ついに克服できていないという事実です。1998年の参議院
選挙で獲得した820万票をつなぎ止めることに失敗した事実を直視しなければなり
ません。
つまり、一言で言えば、日本共産党の政治宣伝が真実ではあれ、多くの国民は耳を傾
ける現状にはないのです。それだからこそ、逆に、日本共産党は総選挙で示された国
民の願望に寄り添い、その実現を助け、国民が政治的経験を積むことを援助し、その
過程を通じて、共産党への理解と共感を得る道を採用するべきだと思うのです。付け
加えていえば、この道は、私の思うところでは、嫌われ者第1党を克服する自己変革
と不可分の関係にもあるのです。
レーニンはその著作のいたるところで、党や国民が政治的経験をつむことの重要性を
述べています。前の投稿で引用した「左翼小児病」の第2章「ボリシェヴィキの成功
の一条件」では次のように述べています。
「第1にプロレタリア前衛の自覚によってであり、革命に対する彼らの 献身、彼らの忍耐、自己犠牲、英雄精神によってである。第2に、もっとも広範な勤 労大衆、なによりもまずプロレタリア的な勤労大衆と、しかし、また非プロレタリア 的な勤労大衆とも、結びつきをたもち、彼らと接近し、そう言いたければ、ある程度 まで彼らと溶け合う能力によってである。第3に、この前衛の政治指導の正しさによっ てであり、この前衛の政治上の戦略と戦術の正しさによってである。ただし、それは もっとも広範な大衆が彼ら自身の経験によって、この正しさを納得するということを 条件とする。」(「共産主義内の左翼小児病」(レーニン全集31巻、9ページ)
第1の条件を育んだ背後には、ツアーリズムの変革へ挑んだナロードニキ以来の
ロシアの分厚い革命の伝統がありますから、それは棚に上げておくとしても、第2、
第3の叙述は日本共産党中央が何度も繰り返し反芻してよい文章ではないでしょうか。
なお、当サイトの「運動論と組織論」欄に、人文学徒さんの1月7日の投稿がありま
すので、あわせて読んでいただければ幸いです。