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「現状分析と対抗戦略」討論欄

国民投票法について-あかつきさんへ

2004/1/14 原 仙作

 論点が多岐にわたっていますので、満足のいくお答えができない心配がありますが、その点はご容赦を。
1、宣伝力に我彼の差が大きい点は如何にしても埋めようがありませんから、どうすれば埋められるでしょうか? 私が主張した選挙戦術などは宣伝力の差をカバーして有効だと思いますが?
2、「国民が・・・オウムがえしにしているだけ」というのは、どうでしょうか?私はあかつきさんが考えるより、国民はもう少し賢いのではないかと思うのです。
3、「国民は共産党を支持はしないまでも『一目置く』ようになるでしょう。」と言われますが、共産党は一目置かれるだけの政党に甘んじる党ではなく、綱領によれば、社会主義社会をめざしていますから、政権をめざす作戦が必要なのではないでしょうか? 私はそのつもりで選挙戦術を提案したのですが、あかつきさんが一目置かれる存在でいいのだと主張するのであれば、それも傾聴すべき一つの意見だと思います。その場合は、私のいう選挙戦術など必要ではなくなります。
4、ご指摘のとおり、今回の総選挙では、民主党はマニフェストで消費税の値上げを公約していません。私の誤りです。民主党は消費税の値上げを否定していませんから、私が「公約する」と書いた部分を「公言してきた」と訂正させてください。
5、「レーニンは政権亡者に成り下がっている」という主張にはびっくりしました。いろいろな読み方ができるものですね。もともと、ボリシェヴィキは政権をとるべきではなかったという考え方をとれば、レーニンも政権亡者ということになりますか。
6、さて、国民投票法ですが、これについては、憲法第96条の1項に定められており、「その過半数の賛成を必要とする。」とまで記述されていますから、国民投票法といっても、投票の仕方を具体的に定める法律の形式を整えるだけのものになるでしょう。
 まず、憲法改正をめぐる国民の意識状況を見てみましょう。昨年12月に行われた日本世論調査会による世論調査(3000人中1902人から回答・調査員による直接面接)によれば、「憲法の見直し」について、「改憲容認派」は2001年3月の77%から、今回81.2%になっています。「改正すべきでなく、議論する必要もない」はわずか2.9%にすぎません。憲法第9条については「自衛隊の存在を明記すべきだ」は全体の58.8%となっています。以上の数字から判断すれば、国民の過半数は自衛隊承認に傾きつつあることがわかります。
 しかし、もう少し詳しく国民の意識状況を見てみると、自民党にとっても楽観できる状況ではないこともわかります。自衛隊のイラク派遣のような海外派遣をいつでもできるような恒久法をつくるべきだという意見についての調査では次のようになっています。
「賛成」 12.8%、
「どちらかといえば賛成」23.9%、
「どちらかといえば反対」35.8%、
「反対」 23.8%、
「わからない」 4.2%
となっています。賛成派は合計36.7%であるのに対して、反対派は59.6%になります。
 自衛隊の存在を明記すべきだという意見が58.8%あるとはいえ、集計の仕方から推計して、そのうち、海外派兵の恒久法にすることには反対が、最大で58.8*0.596=34.7%、最小でも58.8-36.7=22.1%あることがわかります。したがって、自衛隊を承認した上で、さらに海外派兵の恒久法にすることに賛成の国民は最大で58.8-22.1=36.7%、最小で58.8-34.7=24.1%ということになります。
 このように見てくると、第1関門である国民投票法の制定は突破されていると考えるべきです。
 主戦場はやはり、第9条維持か否かということになりますが、戦術上のポイントは多数派である自衛隊承認派のうち、海外派兵承認派と専守防衛派の亀裂をつき、専守防衛派を第9条維持派に引き寄せることです。つまり、対立軸を護憲か自衛隊承認かにおくのではなく、「平和憲法か海外派兵か」に置く戦術が必要だと思うのです。さらに、改憲容認派のうち、9条維持か否かにかかわらず権利強化を求める加憲派国民(この国民の多くは自衛隊承認派である場合でも専守防衛派です)をも引き寄せうる戦術でなければなりません。
 以上のような国民の意識状況と戦術上のポイントを前提にして言えることは次のようなことになります。
 主戦場で闘う前の前哨戦で、国民投票法反対=護憲論という陣地をしくことは自陣を狭く布陣することになります。護憲派は国民投票法にも反対の堅物なのかと改憲容認派に思われるようでは得策ではないのです。
 では、どうするかですが、国民投票法制定反対を前面に出すのではなく、制定をねらう自民のねらい(海外派兵のための国軍化)と平和憲法の重要性を新しい視点(言い慣らした護憲、護憲の抽象論ではだめなのです。具体的で国民の感性に平和の重要性を訴えられる議論と行動。護憲派の創意が切に求められるところです。)から説明し国民を啓発する主戦論を前面に出して闘うべきだと思います。前哨戦から主戦論で闘うべきなのです。国民投票法制定の動きを国民が憲法改正を真剣に考える機会として利用し、序盤戦から主戦場での論戦、運動を進めるべきです。国民投票法反対は主戦論の付属物としての議論とすべきです。
 まとめて言えば、国民投票法阻止に主眼を置くのではなく、国民投票で9条改悪案を葬り去ることをめざして、前哨戦から旺盛な憲法論議を起こし、草の根から平和憲法の重要性を理解する斬新で具体的な、国民の感性に訴えうる創意・工夫のある地道な言論と運動を広範に積み重ねていくべきです。このような戦い方をすれば、社民だ共産だという政党の枠を越えて、前哨戦から広く運動を進めることができるでしょうし、憲法改悪阻止運動から平和擁護運動へと運動の質的転換を図ることもできるでしょう。そして、平和擁護運動に関しては、日本国民は分厚い国民的蓄積をもっているのです。
 私の貧しい思考では、この程度のことしかいえませんが、何らかの参考になれば幸いです。