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「現状分析と対抗戦略」討論欄

綱領的立場の再検討を

1999/6/2 なまけもの、40代、民間労働者

 文字通り怠け者で『さざ波通信』の良い読者ではないのですが、せっかくの問題別討論欄が空白ではさみしいと思い書いてみます。
 日本共産党は、今でも日本がアメリカの従属国だと考えているように思えます。ポスターなどでは「日本に外国の基地はいらない」といったスローガンが掲げられていました。また、ガイドライン法案について、アメリカが勝手に始める戦争に日本が巻き込まれるということが最大の問題として訴えられています。日本はアメリカの従属国、安保条約は「対米従属の屈辱条約」といった評価についてみなさんはどのように考えますか。
 日本の現状をどのように評価するのかは、当面する革命の性格をどのように考えるのか、日々どのように闘うのかということに直結します。わたしは、現在の日本が、独立国家であり、ブルジョア民主主義国家であること、そして、なにより過剰生産に苦しむほどに資本主義が高度に発展し、賃金労働者が圧倒的な比重を占めているという現実ををふまえるなら、当面する革命は社会主義革命以外にはないと考えます。
 ガイドライン法は一見すると、「アメリカの押しつけ」のように見えます。しかし、そこには、世界の「安定」と「平和」に自らの利益をみる日本独占資本の利害が貫かれています。彼らは、さしあたりは石原慎太郎のような派手な形での「反米ナショナリズム」を唱えはしなくても、したたかに自分たちの利益を見定めていると思います。彼らはいつも「外圧」を利用しつつ、自分たちの望みを実現しようとしてきたのです。中曽根などが「次は有事立法だ」と叫んでいるのは、アメリカの期待に応えるためだけではありません。「マック憲法」や「東京裁判史観」への、反動派の攻撃は、アメリカに対抗できるような帝国主義軍事大国への野望の表現です。
 アメリカは、ドイツとならぶ潜在的脅威である日本が独自に軍事力を強化し、「経済」においてだけでなく「軍事」においても自主的にふるまうことをなんとしても阻止したいと考えているでしょう。アメリカにおいて、そして中国においても安保が「ビンのふた」と評価されているのは不思議ではありません。日本政府は、アメリカ国内での「安保ただ乗り論」をことさらクローズアップして、対米協力という形で軍事力の強化を図ってきました。しかし、戦闘機などの国産化を巡っては日本政府や独占の中にアメリカに対する抵抗が存在していること、力関係をふまえつつも、「日本独自の利益」への執着があることを見て取ることができます。
 アメリカが日本を徹底的に利用したいと考えていることは明らかです。しかし、日本の独占資本や政府がいつでも「お人好し」でアメリカの言いなりになっていると考えるのは間違いです。日本の独占資本が、アメリカの独占資本と一方では手をつなぎつつ、他方では激しく対立しているというのが現実です。「日米経済摩擦」は独立国(資本主義大国)同士の対立と角逐でなくて何でしょう。小沢一郎などの「日本には国家戦略がない」「情報機関を充実させることが必要だ」「国家としてなすべきことを断固としてやれ」といった主張は労働者がけっして支持できるものではありません。それは、日本に帝国主義大国としてふるまえという要求です。日本共産党の主張は、こうした論調に接近しています。
 「アメリカの言いなりになるな」といい、日本の「国益」や「国家主権」を共産党は擁護してはいないでしょうか。もちろん、小沢の考える「国益」と共産党の考える「国益」が全く同じ内容だというのではありません。しかし、労働者は「日本の国益」について語るべきではないでしょう。小沢たちが、軍備の拡張を叫んでいるようなときに「主権国家には、固有の自衛権がある」などと語るのは、実際には反動を助けるだけだと思うのです。こうした構図は、最近では「国旗・国家の法制化」提案という形で反動を勢いづかせたことに見て取ることができます。
 日本共産党は、安保廃棄-日本の「真の独立」の実現を戦略的課題としてきましたが、こうした「戦略」は結局は、日本の独占資本に対する階級的な闘いを、アメリカに対する「国民的」・民族的な「闘い」にすり替えるものだったと思います。「真の敵は国内にいる」のです。共産党は「安保棚上げ」を語るまでになり、今では、民主党の鳩山に「脱皮」を期待されるほどの党になっています。日本共産党の綱領的立場の再検討が必要だと思います。
 思いつくままに書いてしまいました。この場が、日本共産党の綱領的立場と現在の指導部の「右転落」との関連をふまえつつ、実りある議論の場となることを、期待しています。