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「現状分析と対抗戦略」討論欄

憲法問題に触れない不破演説の不思議

1999/10/15 吉野傍、30代、アルバイター

 10月15日の『しんぶん赤旗』に、参院長野補選での不破委員長の応援演説が掲載されていました。それを一読したところ、いくつか疑問を感じましたので、そのことについて書きます。
 まず冒頭で自自公の「数の横暴」に対する批判が行なわれています。しかし、不破委員長はその中でこう言っています。

「『自自公』といっても真ん中の『自』はだれもあんまり問題にしません。最後の『公』がいま、大問題になっています」。

 公明党がいろいろな問題を抱えた政党であり、この間、急速に右傾化して、自民党政府の悪政を支えてきたことを批判するのは当然としても、「自自公」のうちもっぱら公明党の政権参加だけを問題にするこうした態度は、れんだいじさんでなくても、いまいち解せないところがあります。真ん中の「自」とは、自由党のことですが、自由党の党首である小沢一郎は、『さざ波通信』第7号で詳しく紹介されていましたが、つい最近、『文藝春秋』に「日本国憲法改正試論」を発表して、9条を含む大幅な改憲案を提案したところです。なぜ、この重大問題について演説で一言も触れられないのか?
 さらに、不破委員長は、21世紀を前にして日本の政治が抱えている大問題を5点提示しています。1つは原子力とエネルギー問題、2つ目は経済のあり方、3つ目は介護の問題と財政のあり方、4つ目は食料問題と農業、5つ目は安保と外交の問題です。ここでも憲法問題については一言も触れられていません。
 そして野党戦線について述べたところでも、消費税、ガイドライン、銀行救済、「日の丸・君が代」問題などについては野党間の対立点が語られていましたが、ここでも肝心の憲法問題についてはまったく出てきません。民主党の新代表が、小沢に続いて憲法改悪の試案を『文藝春秋』に発表したことについても、まったく無視です。いったい、不破委員長はどういうつもりなのでしょうか? 憲法問題など、現在の政治の焦点ではないという考えなのでしょうか?
 次の国会では有事立法やPKFの参加凍結の解除など、深く憲法9条とかかわる大問題が出てくると予想されますが、このことについても演説では触れられていませんでした。
 これはたまたまなのか、それとも何か意図があってのことなのか、つまり憲法問題を下手に焦点にすると、民主党との共闘が危うくなる、民主党といっしょに政権に入るのが難しくなる、という思惑があってことなのでしょうか? もし後者だとしたら、大問題ではないかと思うのですが。みなさんはどうお考えでしょうか?