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「現状分析と対抗戦略」討論欄

グローバリゼーションの意味

2004/12/06 阿Q 50代 自営業

グローバリゼーションとは、本来ローカルに行われていた活動や現象が、国境の 壁を越えて地球規模に広がった、というのが最も素直な理解ではないでしょうか?

 では、それを進めた原動力は何か?それは、この言葉が使われるようになる前から 現実として存在し、それに更に法的な根拠を与えて、より広く深く展開したいと思っ ていたもの、すなわち多国籍企業が政府を動かし、それを通じて国際機関(IMF、 Gatt、世界銀行など)を動かして、グローバリゼーションを疑うことも逆らうことも できない現実にしたのでしょう。

 しかしNGOの国際的な活動などは、全く違います。企業活動が、貿易などで海外に 進出しても、あくまで1つの(あるいは相手国を含めた2つの)国の法律や慣習に規 制されていたのが、その枠を破ることを目指したのに対して、NGOなどは最初からそ の様な枠にとらわれず、国に関係なく「同じ人間として」協力しようという目的で国 際的なつながりを持ったのであり、グローバリゼーションとは全く違います。

 この言葉の前に、我々はインターナショナリズムと言う言葉を持っていたことを、 考えなければいけません。各国が人為的に作られた国民国家の境界を絶対的なものと して対立する中で、労働運動はその境界を越えて「同じ労働者」として国際的に協力 しようとしました。

 残念ながら今では、「**国の安い労働力のために、わが国の労働者が不利益を被っ ている」といった声が、インターナショナリズムにとって代わりました。つまり、企 業活動のグローバリゼーションが、労働者のインターナショナリズムを殺した、と単 純化できるかもしれません。

 それに代わってインターナショナリズムの精神を体現するのが、地雷禁止条約を成 立させたような、NGOの地球規模の協力です。これはローカルが拡大して地球規模に なったグローバリゼーションなどというものではありません。

 食の世界でグローバリゼーションを代表するもの、それはマクドナルドなどのファー ストフードでしょう。それに対抗する勢力として、各地域のローカルな食習慣を守ろ うという運動が、国際的なつながりを持って行われています。これは、ローカル性を 押しつぶすグローバリゼーションと闘う、全世界のローカルな運動の国際的な協力で す。これを「グローバリゼーション」などと呼んだら、話がグッチャグチャになりま す。

 言葉遊びでなく、それぞれの言葉の背後に、どんな力が動かすどんな現実があるの かを見抜いて、言葉の背後の現実と取り組むべきでしょう。