自民党にあって、郵政法案の強行突破をとめた勢力の側が注目される。そんな中 でも、「加藤の乱」によって一度は政治生命を絶たれたとさえ言われた加藤紘一氏と、 政界のご意見番を自認する後藤田正晴氏の存在が目立つ。
加藤紘一は自民党の保守本流池田ー大平派を継承する派閥にいた。後藤田正晴氏は
いまは比較的リベラルな言動が目立つが、三木武夫首相と徳島選挙区で争い、金権選
挙さえ批判された警察官僚のトップエリートであった。
私は加藤紘一氏や後藤田氏を否定的に現在見ているわけではない。加藤氏のめざす
政治的スタンスや後藤田氏の政治的立場を、あるがままに許容したまま 共闘を考え
ることが必要と思っている。
私は共産党や左翼がイニシアチブをとって日本の政治を変える時代は、当分来ない
と思う。私があと何年生きているかはわからないが、最大50年これから生きていたと
しても、その期間内ならば、そのような時代は来ないと見ている。
しかし、資本主義日本の矛盾やほころびは、さらにひどくなっている。もっとひど
くなっていくことさえ予想に難くはない。そのような時代の状況を転換するには、共
産党が日本の政治的展望をもっているのと同様に、加藤氏や後藤田氏らが目指す社会
像とも連立するような政治的展望をうちだすべきと考える。
もし加藤紘一氏にたとえられる政治家が、首相をめざしたら、閣外協力することで
安倍晋三氏に比ゆされる政治家の権力掌握を阻止すべきである。
民主連合政権でもない。
救国・革新の合意でもない。
非核の政府でもない。
自民党公明党政権を創価学会が各種選挙で支えているような、比ゆはよくないが、
日本共産党が草の根となって地を這い、政治的救国の下支えとなっていく。そのよう
な実質的政治効果という点では、いまの共産党は議員も活動家もずっとずっと少なかっ
た戦前や戦後直後に比べても、日本共産党の「モラルハザード」はどうか。
私が子どものころ、地域で住民運動や企業の民主化で運動している共産党員の運動
はある種のモラル的権威さえ感じさせていた。
議員が拡大してゆく、それで?
党員が増えてゆく、それで?
日本共産党の勢力が大きくなってゆく、それで?
巻き込むとか、増やすとか、それが自己目的となっている。
共産党が大きくなることは、手段であって目的ではないでしょう。
共産党の首長が増えれば少しは住民本位の政治になります。
しかし、首長や議員当選自体が自己目的化して、企業の労働問題や住民運動の課題が
根本的に解決されねば、本末転倒ではないでしょうか。
共産党が主人公の政治運動ではなく、日本共産党が政治のキャスティングボードを 握り、党員たちの活動が草の根から活性化している。そんな運動の様式と党風ならば、 自民党リベラル 派や慎重な保守政治家も一目も二目もおくでしょう。
いま台頭する強権力的弱者切捨ての効率原理の管理主義の政治的梗塞化に対抗して、 「柔軟な血の通った政治」を展開しうる政治家政治勢力と共闘しないかぎり、議会か らは「そしてみんないなくなった」。あとには高級テクノクラートのファッショ政治 しか残っていなかった。 外には高度経済成長と軍人支配が覆っていたという悲惨な「平和」が残っているのみ・ ・・・
挑発的発言が指摘している該当領域が、批判の渦によって創造的に整理されること を期待している。