久しぶりに田原氏のサンプロを子どもとみる。仕事はまたキャンセル。志位さんお相手は、なんと、あの、自民党の偽プリンス・安倍である。異色の対決に興味津々。拉致問題で、志位さんがどこまで踏ん張るか。しんぶん赤旗のように、逃げ切るかという「踏み絵心」もあったのだが、杞憂であった。
テーマは、小泉の靖国問題。
全体を通じて、志位さんの一人勝ち。靖国の資料をしっかりと携え、田原氏もいつになく、志位さんに時間を与え、否、そもそも、こうした自民党の次期総理(嘘でも)との対決構図の舞台設定してくれたことこそが、驚きである。
安倍氏の子供だましの釈明で話がそれそうになると、インサイダー編集長の高野氏の中立的な発言。以前の参加者・草野厚のような御用学者もいない。
「この際、安倍さんに質問しますが」と志位さん。
一、先の戦争が侵略戦争であったと認めているのですか。
一、東京裁判でA級戦犯として裁かれたひとの罪を認めていますか。
これに対する安倍氏の答えにもならぬ、稚児のような反応は面白かった。
要は、歴史の問題は、後々、歴史家が云々することで政治家がとやかく言うことではない。また、侵略か否か、罪か否かは視点の違いや状況遺憾で如何ようにもなると言いたげ(ならば、まだ、解明されていない拉致問題を教科書に載せる意味は? また、テロリストといわれる立場を理解できているのだろうか)。
私が過去、天木板で右翼へ反論してきたが、その類の論調と同じ発言が安倍氏の口から聞かれたことに驚愕した。
つまり、インド・台湾・ミャンマー・インドネシアなどの人々の間では、「日本兵は勇敢に白色人種と闘った。勇気をもらった」という類のもの。アロヨ大統領との会談を自慢げに語っていたが、ここで、志位さんの斬り返し。
「まあ、長々とおっしゃいますがね。インドネシアではオランダ300年の植民地時代よりも日本占領は残虐だったーーと言われているんですよ。世界の00新聞でも、大々的に取り上げていますが、その後靖国に首相が参ったことを、最大の裏切りと書かれているのです。あなたが、知らないだけでしょう」
一見、さわやかなクールビズで現れた安倍氏に、保守的な背広にネクタイの志位さん。司会者に聞かれて
「私は自然体でいきますよ。クールビズというのは金がかかるんです。私はこれしか持っていないんで」と始めた志位さんだが、論争以前の低レベルの安倍のクールビズは、次第に蒸し暑い風が充満し始める。
「今日は志位さんの顔が気にならなかったよ。なんか、尊厳のようなものを感じたぜ」とは子どもの評。
ともかく、靖国史観の戦争賛美、外交上のマイナス、日本人として偏った姿勢の安倍にメスを深く入れた志位さん。欲を言えば、「つくる会」の歴史教科書採択問題とつなげて欲しかったが、まあ、時間の問題もあったことだし、良しとしましょう。
ご苦労様でした。
それにしても、右翼は、言葉が非常につたないし、一面的な思考回路であることを再確認できました。これじゃあ、郵政民営化でも社会保障削減でも医療改悪でも、道理に基づき、明解に語れば、勝敗は見えてきます。
理念がしっかりとあり、現在起こっている処々の問題の根源を見抜く能力さえあれば、また、伝える柔軟性をもっていさえすれば、共産党は、第一党になれるのです。それができないのは、どこかに構造上の欠陥があるということです。テロ問題も、最近は後退しています。
前半の井上哲史氏は、自分の言葉になっていませんでした。せめて、筆坂さんのような人材をどんどん輩出しなければ、だめでしょう。
9条の会の盛況は素晴らしいですが、イラクの戦況と切り離していては、日本列島の夏祭りに終わってしまいます。
日本は戦争渦中です。今日もイラクで、アフガニスタンで、二桁のイラク民衆が死亡しています。連合軍はレジスタンスに追いつめられ、子どもを何十人もお菓子でおびき出し、全封鎖されたところ(テロリストなど入れない箇所)で、爆殺しています。そして、武装勢力のせいにして、米兵の被害ゼロを米兵一人死亡ーーと報道します。
昨日(7月30日)朝日新聞は、圧巻でした。オピニオン欄の渡辺淳一氏の「百の理屈より一つの心を」は、久々に、うなりました。日本人からは、ことに著名人からは、こうした真実が語られることは稀です。
「山本譲司さんからあなたへ」のきっと切れない蜘蛛の糸をーーも心をうたれました。彼は、朝日新聞によって、しっかりとその再生を認められたような気がします。批判すべきことの多い朝日新聞ですが、しんぶん赤旗にはない貴重な視点があることも事実です。5%の記者の良識が残っているということでしょうか。