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党員用討論欄

荒川さんへ、私も殆ど同感です

2013/1/6 植田 60代 技術者

荒川さんへ                    2013/1/6 植田 与志雄
荒川さんの最近の投稿11/30、12/9、12/26読ませていただきまし た。
私も殆ど同感です。
荒川さん始め多くの方が語られていることで尽くされていると感じていますが、 12/16総選挙とその結果を受けての幹部会声明を読んであらためて思うとこ ろを記します。

1.2010/7/12参院選後の幹部会声明では「どこにただすべき問題点が あるのか、、、掘り下げた自己点検を」として参院選での後退の根本原因を「自 力不足+綱領活用の不十分さ」に求めていました。「綱領は正しい、生命力が輝 いている、国民の理解が得られないのは党との結びつきが弱いから」これが中央 の年来の主張です。今回もこれの延長上に「自力=国民に溶け込み結びつく力」 として、自力不足を選挙敗北の総括としています。企業で言えば市場で自社商品 が選ばれなかったのはセールスが弱かったからということです。これには同意で きません。売り上げの多少はセールスの強弱と相関するのは当然で、セールスを 強化したところが売り上げがアップしたことを教訓にしていては肝心の商品の検 討に至りません。私は数十年に及ぶ売り上げ後退は商品が悪いからと思っていま す。個々の選挙での勝敗以上に今求められているのは長期的退潮をどう止めるか の具体策です。私の最大の関心はそこにあります。以下、退潮の主犯と思われる 二つの商品について考えます。

2.商品1=社会主義
党の長期的退潮は国民が社会主義を望まないからです。ソ連崩壊後、社会主義は 希望の星どころではなく、希望の星(star)から最も遠方(distance)の災害 (disaster)になっています。国民が望まないだけでなく我われ党員ですら今で は社会主義の正統性に大きな疑問を持っています。旧社会主義国の惨状を知って からは、率直に言って、これに疑問を持たない党員には私は誠実さを疑います。 国民からどう見られるかではなく、まだ遠い未来のことだからではなく、今日の 我われ党員自身が社会主義なるものと正面から向き合って格闘すべきです。荒川 さんのおっしゃっている「深刻な総括」です。社会主義は本当に人民にとって幸 せをもたらすものであるのか、この最も大切な基準に照らして党は社会主義を厳 しく再点検すべきです。この過程抜きに人民からの信頼は得られません。さらに 言えば党の根本的な自力不足は社会主義を信頼し夢を託し推進する中核部隊が消 失したからです。社会主義の夢の実現に人生を賭ける優秀な若い人材が党の中核 を担っていました。社会主義の喪失はこの中核部隊を失うことになりました。社 会主義の再生なしに党勢回復はありえません。言い換えれば党にとっては社会主 義の放棄か新理論の構築かの選択しかないと思います。遠い未来の、先送りの許 される選択ではありません。
私は社会主義の中にまだ尊重に値する理念が存在すると感じています。
昔の私は社会主義の真理性、万能性を絶対視していました。社会主義に恋してい た、恋は盲目だったと思っています。一方、現代資本主義の前途に対しては格 差、戦争、環境、金融暴走など資本主義システムの否定的側面が規模の巨大化に よって誰の目にも強く意識されるようになってきています。社会主義の立場に立 たなくても資本主義の根本治療は現代理性の共通認識の一つとなっていると感じ ています。
そこでは社会主義的理念も現代資本主義の根本治療の一つの要素として選択さ れ、次の社会システムにビルトインされる可能性は残っていると思います。これ の探求は全党的課題です。共産党という名前をどうするかはこの探求の方向次第 で考えればいいと思います。この社会主義再定義を全党的に進めるに当っての最 大の障害が党員相互の自由な意見交流の存在しない党運営です。これは同時に党 が国民から信頼され溶け込み結びつくに際しての最大の障害でもあります。売れ ない商品2がこれです。

3.商品2=党員相互の自由な意見交流のない党運営
党のDNAとも言うべき伝統的思考が宮本顕治氏によって語られています。
・客観的真理は一つ、限りなくこれに接近できる
・多様な考えの存在が正常だというのは誤り
・認識の違いを当たり前とするのは力の統一の観点を失っているから
・正しい認識の勢力が誤った見地に立つ勢力より多数になるのが科学的社会主義 の展望だ
これは党大会に当たって評論特集版で提起された「多様性の存在を常態と認識せ よ」との党員からの意見への反論としてなされたものですが、宮本氏というより 党の公式見解として全党員がものを考えるときの基準になっているものと思われ ます。他者に溶け込み結びつく障害となっている硬直性の根の一つはここにある と思います。
正しいことの硬直性は肯定されるべき、とも言えるので、これの当否は保留して もこのDNAの延長上に自由な意見交流の禁止までもが許容されていると思いま す。
憲法が立ち止まるのは企業の門だけでなく政治結社の壁の前でもということで す。
党員相互の自由な意見の交流は基本的人権の重要な要素で、党運営上の基本であ る党員主権の原則をなすものであるべきです。
民主集中制規約の廃棄ないし改定、党首直接選挙などが党内外でも語られていま すが、規約改訂は地区委員会へ提起しても放置無視されてしまうでしょうから出 口が見えません。
私は機関の制御下でもいいから、支部を超えての意見の広範囲な交流を推進する のがいいと考えています。意見交流は現状規約にも触れず実現可能です。
意見交流があれば党首公選を含む規約の改定も実質的な議論が進むでしょう。
党内での広い意見交流は以下の効用が考えられます。
①類似意見がまとまって探求と検討が深まり、対立意見との類似と相違が整理さ れ明確に
なる、複数意見間で相互浸透、競争、淘汰が生じる、この過程で少数意見の成長 と、多数意見の誤りの発見修正がある(中坊公平)。
②意見は広く公開され多くの目にさらされることで党員間での刺激が生まれる。 多数意見の交流は量から質への転換を遂げて全支部の活性化に向かうであろう。 今は所属支部以外の党員の意見を知ることが出来ない。意見を所属支部以外の党 員に知らせることが出来ない。数人から10人程度の支部内党員間の交流では意 見の超微細化された極端な小選挙区状態で、少数意見の成長も多数意見の誤りの 修正の機会がない。全党的にこれの積み重ねで閉塞感が強くて活力が生まれな い。
③支部を超えての党員相互の意見交流は民主集中制と矛盾するものではなく現行 規約とも抵触しない。地区委員会など中間機関は指導機関と位置づけられてきた ので上から下へのパイプ役での機能がメインだった。機関が支部間の意見交流の 新しいヨコ方向のパイプ役を果たすことも新たに重要な機能と位置づけるべき で、このことが今までは等閑視されていた。党員の活性化は限界、今まで経験し たことがなかった新しい活性化が必要である。
④全党的に上からの方針と指示に対応することが中心で自分の頭で考えることが 失われて、 自力も活力も衰退しつつあると多くの党員が自覚していると思われる。まずは地 区レベルでだけでもこれに風穴を開ける挑戦をして、うまくできて効果があれば 全党的な経験に発展させることができる。
⑤意見交流抜きに党内での理論の創造と成長は期待できません。また若い優秀な 人材はこのような組織には加わりません。政策や理論の未熟さへの不満を言って もないものねだり状態になっている。またこの先もこのままでは生まれる見込み がありません。
⑥党の現状を退潮と閉塞と認識しなければ上記議論と提起は無用のおしゃべりに 過ぎない。
組織原則と防衛の名の許に、中間機関の無能が隠蔽されたり、機関自身の保身に つながっていないか。あらゆる経営体(広義の)は上から下迄、組織構成員の責 任が明らかになり、殊に各級の長はその出所進退があきらかでなくてはならな い。広範囲での意見交流のシャワーはこのような組織の汚れを洗い流す効果があ ると思う。

以上