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党員用討論欄

不破政権論をめぐるタケル同志の批判へのレス

2000/1/21 編集部S・T

 かなり以前の投稿になりますが、12月5日付のタケル同志の投稿に対して、編集部よりレスをいたします。基本的に、不破政権論の中身をめぐる批判に限定して簡単にお答えしたいと思います。
 まず、タケル同志は、不破政権論が破綻したかどうかをめぐる議論を批判して、次のようにおっしゃています。

「3中総は『政権に対する態度』を明らかにしたのですから言ってることがすれ違っています。『何』が破綻したのかという問題です。HT氏はすぐあとで、<おそらく念頭にあったのは民主党と自由党です>とおっしゃっていますが、3中総ではそのような指摘はありません。そういう『煮詰まった政権構想』を提示したわけではないのです。明らかにHT氏の読み違いでしょう」。

 たしかに、一昨年の不破政権論は、直接、政党名を挙げて具体的な政権構想を提示したものではありません。しかし、いっしょに組む相手としては、当時の野党勢力しかありえないし、また議席数からしても、民主党、自由党などしか考えられません。実際、共産党は、参院選後の首相指名選挙において、自由党とともに、民主党の菅直人に投票しています。これらの事実からして、不破政権論において「念頭に置かれていた」のが、民主党と自由党だと考えるのは、十分に根拠のあることです。
 タケル同志は、「破綻」の中身について検討するとして、次のようにおっしゃっています。

「不破さんも3中総も『進歩的』などとは言っていないのです。HT氏自らが『進歩的』でなければならないと曲解して、それは無理だと批判するのは自縄自縛の行為です」。

 自民党政治の打破といっても、反動的な方向で打破することもあれば(かつての細川政権のように)、進歩的な方向で打破することもあります。共産党の入る政権が、自民党政治を反動的な方向で打破することをめざすはずがないので、当然それは、「進歩的な方向で」打破する暫定連合政権でなければなりません。その言葉を直接使っていないから、「自縄自縛」だというのは、説得力に欠けます。
 次にタケル同志はこうおっしゃています。

「HT氏は<政策ないし綱領>と表現されていますが、この2つをごっちゃにするのはとんでもない話しです。政権を組もうとする他党の綱領が『進歩的』か否かはこの問題では全く考慮する必要はないと思います。政策の面で自民党政治を『部分的にせよ打開する方向に一歩踏みだす』共闘が生まれるかどうかとうことが大切なのです」。

 「政策ないし綱領」という表現は、けっして両者を混同するものではありません。また、政権を組むにあたっては、綱領が一致している必要はまったくありませんが、しかしだからといって、反動的綱領を持っている政党といっしょに政権を組むというのは、非常に重大な問題が生じるのではありませんか?
 さらに続けてタケル同志はこうおっしゃています。

「実際の政治の場面では、例えば年金改悪や議員定数の問題で野党共闘が実現しているではないですか。それをどうやってもう一歩前進させるかとう展望が語られたのがその『不破政権論』です」。

 残念ながら、年金改悪問題についても定数削減問題についても、自民党政治の打破ではありませんし(現状より悪化させないというだけ)、またとりわけ議員定数に関しては、民主党は基本的に削減賛成であり、また最終的には単純小選挙区制を主張しています。不破委員長自身も、正反対の方向からの共闘と言っているぐらいです。したがって、この場合の共闘はただ、自民党の横暴に一時的に反対するというだけにすぎず、政権を組むという水準とはまったく異なります。
 同じ方向を目指しているが、目指す先が、より遠いのかより近いのか、という違いなら、一致できる目標で政権を組むことは可能ですが、目指す方向が正反対である場合には、自民党政治を進歩的方向で打破する政権をつくることは、とうてい不可能です。そのような連合政権は、私たちのインタビューでも述べられているように、ただちに脱線するでしょう。
 続く文章において、タケル同志は、いっしょに連合政権を組むことと、共闘一般とを混同した上で、インタビューを批判されているようです。私たちは、民主党と連合政権を組むことには絶対に反対ですが、当面する問題に関して、一時的に共闘を追求することは当然です。そのような場面においては、まさに不破委員長が言うように、正反対の方向からの共闘さえあるでしょうし、また、「別個に進んでともに撃つ」統一戦線も可能でしょう。しかし、このことと、いっしょに連合政権を組むこととは、まったく性質を異にします。この点は、私たちのインタビューでも詳しく分析されているので、それを改めて参考にしてほしいと思います。
 不破政権論は、昨今、ますます現実味を帯びてきており、わが党指導部は、最近開かれた5中総において、民主党を含む連合政権をきわめて現実的な課題として追求する立場に立ちました。この問題については、次号の『さざ波通信』でより詳しく論じる予定にしていますので、こちらの方も参考にしてください。