■暫定政権構想の破綻について
たしかに、一昨年の不破政権論は、直接、政党名を挙げて具体的な政権構想を提示したものではありません。しかし、いっしょに組む相手としては、当時の野党勢力しかありえないし、また議席数からしても、民主党、自由党などしか考えられません。
「さざ波通信」の編集部の方々がどんな予想をされようと自由です。しかし、不破政権論は具体的に政権を組む相手を名指しして、具体的な政権構想を提示したものでなく、自民党を含む与党が総選挙で敗北したときに、それに変わりうる政権の協議をする準備があるということを表明したものですよ。
自分たちで勝手に予想しておいて、その予想から自由党が外れたから(?)と言って「破綻」だと決めつけることが私には理解できません。ハッキリ言って、別に民主党がこの協議に応じなくったって今回表明した暫定政権構想はいささかも傷つくものではありません。実体的には民主党を追い詰めている形になっていますし、戦術的にも正しい方針でしょう。
「何」が破綻したのかもう一度ご説明願いたいです。
■暫定政権が進歩的か否か
自民党政治の打破といっても、反動的な方向で打破することもあれば(かつての細川政権のように)、進歩的な方向で打破することもあります。共産党の入る政権が、自民党政治を反動的な方向で打破することをめざすはずがないので、当然それは、「進歩的な方向で」打破する暫定連合政権でなければなりません。
これについては私の批判が的を得ていませんでした。共産党が加わる政権ですから「進歩的」じゃないと困りますよね。(ただ「反動的な打破」って言葉は使わんでしょう。あなた方自身も細川政権は自民党政治の継承だって言ってましたよね。)
■連合政権を組む政党の綱領
政権を組むにあたっては、綱領が一致している必要はまったくありませんが、しかしだからといって、反動的綱領を持っている政党といっしょに政権を組むというのは、非常に重大な問題が生じるのではありませんか?
連合政権なんだから綱領が一致している訳ないでしょう。あなた方の論理は、民主党が共産党に対して「綱領が違うから連合できない」と言っているのと何ら変わらないのではないでしょうか。
反動的な綱領を持っていたって、現在の自民党の政治を部分的にでも打破する方向に踏みだすことが可能なら、政権協議することに何の問題もないですよ。もちろん、かの党の綱領を知ることは、彼らと交渉する上でとても大切なことです。
■この間の共闘の評価
年金改悪問題についても定数削減問題についても、自民党政治の打破ではありませんし(現状より悪化させないというだけ)、またとりわけ議員定数に関しては、民主党は基本的に削減賛成であり、また最終的には単純小選挙区制を主張しています。この場合の共闘はただ、自民党の横暴に一時的に反対するというだけにすぎず、政権を組むという水準とはまったく異なります。
年金改悪を食い止めていることがそんなに低い評価しかされない理由が解りませんが、何にせよ現状よりも悪化させないことはとても重要だと思います。もちろん、政権に加われば、もっと積極的な現状打開策を提示することが可能になるでしょう。
そもそも今回の中央の提唱は「暫定」連合政府ですよ。自民党の横暴を暫定的に食い止める政府を作るという提起だと私は理解しています。もちろん、相手の出方次第ではその政権が長期化することもあり得るでしょう。ただちに瓦解するかも知れません。
■共闘一般と連合政権
同じ方向を目指しているが、目指す先が、より遠いのかより近いのか、という違いなら、一致できる目標で政権を組むことは可能ですが、目指す方向が正反対である場合には、自民党政治を進歩的方向で打破する政権をつくることは、とうてい不可能です。
同じ方向を目指さないと連合政権は出来ないんですか。私は将来目指す方向が別々でも、当面一致できる政策を進めることは可能だと思うのです。
いっしょに連合政権を組むことと、共闘一般とを混同した上で、インタビューを批判されているようです。私たちは、民主党と連合政権を組むことには絶対に反対ですが、当面する問題に関して、一時的に共闘を追求することは当然です。
私が混同しているなら、あなた方はどう区別しているのですか。
私は共闘の積み重ねの上に連合政権があると思います。むろん、現時点での民主党が本当にわが党と連合するに足る相手かどうかは解りかねます。だけど可能性はある。変化するんですよ。今回の野党党首の合意を見て下さい。
「3.金権疑惑については連絡を取りながら究明し、政治倫理の厳格な確立の立場で臨む。
4.2000年度の予算についてはバラマキ、借金予算の無責任さを追及し、財政再建を先送りすることなく、その計画と展望の提示を要求する。」
やっとここまで来たんです。