不破政権構想が、ただ「自民党を含む与党が総選挙で敗北したときに、それに変わりうる政権の協議をする準備があるということを表明したもの」だとしたら、そんな無責任なものはないと思います。
もう一度暫定政権構想が語られた三中総を紐解きましょう。
<総選挙がつくりだした結果が><野党が協力すれば野党政権が実現しうるという過渡的状況となる可能性がおおいにあります><そのときの対応として、自民党の政権たらい回しを許さず、暫定政権という政局打開の政権を実現するために、党として積極的に協議に参加する用意がある>
まず提起されたのは政局打開のための「暫定」政権だということを理解して下さい。次の総選挙で自自公が過半数を割るような結果になれば、どの政党が政権を担当することになるかというのは当然政局の焦点になり、国民生活にとっても重要な関心事になります。結果次第ですが複数の政党の連合政権になる可能性は高いでしょう。しかし選挙で明かな政権構想をもって統一戦線を組んで闘う政党はないわけですから、選挙後に政党間の協議で政策の一致点を作りだして「暫定」政権を組むしかないわけです。そうした政党間の協議の場に共産党が参加することがなぜ無責任なのでしょうか。
共産党が具体的に示している政権構想は革新三目標に基づいた民主連合政府です。残念ながら現在の政党構成はそこまでの一致点は作りようがありませんね。そこで三中総ではその政権協議に参加する基準、つまり暫定政権を実現するための条件を示しています。
<第一に><自民党政治を部分的にせよ打破する方向に一歩ふみだすという客観的な条件が野党間に生まれること>
<第二に><当面する緊急課題で大同団結するという道理ある共闘の論理にたつということ><とくに安保条約については、つぎのようなあつかいが必要になってきます>
<一つは、安保条約についての立場のちがいを、政党としてはたがいに相手におしつけないということです><いま一つは、暫定政権としては、安保条約にかかわる問題は「凍結」するという合意が必要となります。すなわち、現在成立している条約と法律の範囲内で対応すること、現状からの改悪はやらないこと、政権として安保廃棄をめざす措置をとらないこと、これらが「凍結」ということの基本点でしょう>
<第三は総選挙で日本共産党が新たな躍進をどれだけかちとるか、このことを中心に国会の力関係をどれだけ前向きに変えるかが、選挙後の政権問題についても、決定的に重要な意味をもってくる>
政権協議は始まっていないのだから具体的な政策内容まで踏み込めないのは当然ですが、基準は明確になっているんじゃないですか。それぞれの政党がそれぞれの政策を国民に公約して選挙を闘い、その結果に基づいて「暫定」政権を作るわけですから、始めから革新三目標から一歩も譲らないという立場では議論の仕様がないですよね。しかし共産党が参加すれば、自民党政治の継承でなく、進歩的な打破する方向に向くわけですから、国民の立場からすれば望ましいことでしょう。
<自由党にせよ民主党にせよ、いずれも、現在支配層によって進められている新自由主義と帝国主義化の政策を「食い止める」政党ではなく、それを推進する政党だから、そのような政党との連合政権論は破綻していると編集部の方は主張しているのです。その意味で、タケルさんが編集部に対して行なっている批判は、少しも本質に触れたものではないと言えましょう。>
新自由主義と帝国主義化を進めるのか食い止めるのかは、何で判断するのでしょうか。綱領を問題にするんですか、政策でいいんじゃないですか。本質的に自由党や民主党がどんな政党かという議論にお付き合いしてもいいですが、それは暫定連合政権を組む相手としてどうかという議論には発展しませんよ。
「共闘の積み重ねの上に連合政権」「革命は議会制民主主義の枠内」などと言うことは、タケルさんが、労働者・人民の運動による力よりもむしろ、議会的かけひきを重視されていることを証明するものだと考えます。改革も革命も議会の中に閉じ込めてしまう考え方は、マルクス主義の洗礼を受けた私にはついていけません。
議会制民主主義が機能してる現代社会では、革命は選挙を通してやるんじゃないんですか。そうでないなら私は共産党員であることを止めますよ。