昨日(16日)、いわゆる「ストーカー法案」が参議院で我が党も賛成し、全会一致で可決され、本日、衆議院でも可決・成立する見込みである。確かに、頻発するストーカー被害に対して、もはや個人的努力での解決が困難なことは明白であり、何らかの立法措置によってその救済を図らなければならないということにはほとんど異論は無いはずである。
問題は果たして、この法律で良かったのかということである。
この法律は、緊急の場合、被害者の訴えに基づいて、公安委員会が禁止命令を発し、それに加害者が従わない場合、公安委員会によって科料がなされるというシステムになっている。しかし一体、いかなる権限によって、公安委員会が科料を課す事などできるのだろうか。この「ストーカー行為」の定義の曖昧さから考えても、また個人と個人の間の問題に警察権が介入するということを考えても、警察官職務執行法にもとづくように現行犯でもない限り、令状主義をとるというのが当然であると思われる。令状主義をとったところで大して変わらないと思われるかもしれないが、そもそも、日本の司法がこの令状主義を厳格に適用しないところに、警察による市民への不当介入を容易に許してしまうという実態があるのであり、この法律によってその傾向がより助長されてしまうことが懸念される。だいいち、この「緊急の場合…」などという条項自体、桶川の事件でもそうであったように、警察が事態を深刻にとらえず、怠慢によって加害者を放置した所に最大の問題があったのであって、「通常の場合」の規定である、被害者からの訴え→警告→告訴→科料という手続きで(警察がちゃんと・・・文字化け部分・・・
もちろん私も、この法律の制定が即座に市民運動や労働運動の弾圧につながるとは思っていない。しかし、「ストーカー」だから、「オウム」だから、何をやっても良いという形で安易に警察・司直の権限を拡大していく風潮が、めぐりめぐって我々に向けられないという保障が一体どこにあるだろうか?