<○○>は編集部、【○○】は党の見解です。
1.統一戦線
<共産党と民主党との統一戦線一般、共闘一般を否定したことはありません。>
統一戦線と共闘一般は同じことではありません。革新統一戦線の上に民主連合政府があり、民族民主統一戦線の上に革命の政府があるのです。あなた方は共闘一般と政府の問題は違うとおっしゃっていますが、統一戦線はそれぞれの段階の課題で一致して政権を獲得することを視野に入れた広範な戦線です。そもそも共産党は民主党と統一戦線を作ったことはありません。あなた方の言う課題ごとの共闘は、統一戦線とは言いません。そいう個々の課題での共同は、政策共闘なり統一行動なりという言い方をすべきでしょう。
ここまで理解して頂いた上で今一度伺います。「階級的本質」を問題にして統一戦線から排除することは科学的社会主義者の態度として適切ですか。
2.階級的本質と連立政権
<タケル同志が本来なすべきは、民主党の階級的・階層的基盤、その政策や幹部構成、その思想や歴史を検討し、そのうえで私たちの判断の誤りを指摘するべきです。なぜそれをしないのでしょう?>
私は新自由主義云々というあなた方の分析を問題にしているのではありません。いかなる場合でも政党の階級的・階層的基盤、思想や歴史、幹部の発言など(つまり階級的本質)に注意を払う必要はあります。したがってあなた方がそれを分析しようとする態度は正しいと思います。しかしそれらに差異があったとしても、政策の一致点があれば共闘出来るし連立政権を作ることも可能だと私は主張しているのです。 少し古いですが統一戦線についての党の基本的考え方を述べたものを紹介します。
【本来異なる階級や階層、あるいは政治理念や綱領的展望を異にする政党、目的や性格を異にする団体などが、このような違いをそれぞれ保留しながらも、社会進歩の方向に沿った共通の目的、共同の要求のために、当面する政策の一致に基づいて、共同の課題に向けて戦うためにつくる行動の戦線】(小林栄三「科学的社会主義(下)」(77年)
これに照らせば、あなた方は「民主党は社会進歩の方向に向かっていない」と主張されるでしょう。確かに現在はその通りです。しかし民主党にしても政権を取るつもりなら現与党の進める政策と国民との矛盾を突かざるを得ませんから、政策的に変化はするでしょう。そもそも綱領さえない政党なんだから、党の組織や党員の構成だって変わりうる。「変わらない」と決め付ける必要はどこにもないんです。そして一定の変化があれば、政策協定を結ぶことだって可能です。中央はそのために主体的に努力してきたのです。それをあなた方は嘲ってきた。その考え方が私には全く理解できません。
3.都市上層
<「都市上層」とは、一個のまとまった「階級」ではなく、新自由主義政策によって一定の恩恵を受ける、あるいは恩恵を受ける可能性のある諸階層>
「都市上層」という概念については、あなた方の考えていることは解りました。では、保守層とか低所得者層というのと大して変わらないカテゴリーですよね。しかし、
<なお誤解ないようにつけくわえておきますが、私たちはこの階層に属するすべての人を敵視しているわけではありません。>
というのですから、あなた方はこの階層の多くの人々を敵視していると思われます。その態度は誤りです。何度も繰り返しますが、私たちの敵は日本独占資本とアメリカ帝国主義です。それぞれの階級や階層でイデオロギー闘争はあり、とりわけ「都市上層」での闘争は激しいでしょう。従ってそうしたカテゴリーを設けてその分野でのイデオロギー闘争をどう進めるかを分析するのは意味のあることかも知れません。しかしもちろん「都市上層」も私たちの仲間です。もう一度綱領を紐解きましょう
【民族民主統一戦線は、労働者、農漁民、勤労市民、知識人、女性、青年、学生、中小企業者など、平和と祖国を愛し民主主義を守る全ての人々を結集するものである。】
これについて前出の小林栄三氏は次の様に述べています。
【「平和と祖国を愛し民主主義を守る全ての人々」を特に付け加えているのは、これらの階層に属さない人々でもこの革命に参加できる人々はすべて積極的に民族民主統一戦線に結集され、、(中略)、、この日本革命の推進力としての民族民主統一戦線は日本の総人口の圧倒的多数を結集する広大な統一戦線となるはずです。】
「都市上層」に敵があるかの様に描くのは、典型的な日和見主義の一種です。
4.護憲と革新のブロックと革新三目標
<自民党・保守党を中心とする「保守ブロック」と、民主党・自由党を中心とする「新自由主義ブロック」に対抗する、第3の「護憲と革新のブロック」を形成することです>
どこにそんなことが可能な情勢が転がっているんでしょうか。自公保与党は衆院の3/2を越える議席を持っており、過去になかった様な悪政を進めているんですよ。年金で夫婦で1千万かすめ取り、消費税の導入と医療費を2割自己負担にして10年も続く消費不況を作りだし、莫大な失業者と商店街の荒廃を放置し、一方でアメリカとの約束で600兆の公共事業を注ぎ込んできた。この空前の悪政をどうするかという選挙を目前にして「護憲と革新のブロック」ですか。はっきり言って情勢ぼけとしか思えません。
「護憲と革新のブロック」が将来の展望というなら、すでに明確であって、それは「革新三目標」で一致した「革新統一戦線」による「民主連合政府」です。当面この目標で統一戦線を組める政治勢力がない段階ですので、この「革新三目標」をこの選挙では「日本共産党の日本改革の提案」と言っていますが、内容はほぼ同じですね。これを21世紀の早い段階で実現しようというのが我が党の方針でしょう。
しかしそれを待たずに、出来る改革を進めなければ大変な情勢になっているということで、公共事業などへの浪費を止めさせ、社会保障を建て直し、経済でのルール作りを進めることをやろうというのが総選挙での主要な政策です。
本当にあなた方は政治の現状や党の改革の提案について知人や友人と対話しているのですか。選挙での支持を訴えているのですか。党への批判は結構ですが、現在総選挙で訴えている政策に関しては反対の意見を保留してぜひ選挙活動を広げて下さい。
5.民共政権
共産党がキャスティングボードを握ったときの態度として、2年前の編集部の一人の見解は
<共産党は、民主党を中心とする政権への反対姿勢、対決姿勢を明確にした上で、菅直人(民主党)に投票するべきでしょう。共産党は国民に向けてこう言います。「われわれは、民主党を中心とする連合政権がよりましな政権にはなりえないことを確信している。しかし、われわれは国民の審判をないがしろにしたくない、、、、」>
有りえない選択ではないかも知れませんが、恐ろしく無責任ですね。投票した以上、閣外協力でも何でも政権に直接関わるべきでしょう。「よりまし政権になりえない確信」があるなら、投票すべきじゃないです。
<実際に、民主党を中心とする政権が反民衆的政策を実施し、その政権に対する幻想が崩れたとき、その政治的結果から共産党が最も政治的利益を得るでしょう。>
共産党は政治的利益を目的にして政治活動をしているのではありません。国民の利益のためにやってるんです。それなら出来るかぎりのことをやるべきでしょう。
ちなみに、民共政権が誕生したとして出来うることを現段階で、両党の政策を比較して考えてみました。
1)吉野川可動堰、川辺川ダム、徳山ダムなど無駄が考えられる公共事業の再検討
2)財政再建のためのプログラムの提示
3)年金、医療費、改悪など社会保障改悪の停止と再構築の検討
4)労働時間の規制
5)新エネルギー開発
6)侵略戦争への謝罪
7)思いやり予算の縮小
8)NLPの規制
9)市民道徳、社会性を培う教育改革
10)議員の斡旋利得収賄罪の法制化
11)官僚の天下りの禁止
結構いろんなことが出来そうですね。
(なんかむきになってしまって、この忙しいのに5時間もかけて書きました。本当は選挙が終わってからにしたいところですが、それだとこの話も盛り上がらないかも知れませんものね。)