投稿する トップページ ヘルプ

党員用討論欄

消費税3%先送りについて

2000/6/9 川上 慎一

 6月8日付けの「朝日新聞」朝刊の記事を引用します。少し長くなりますが、一般新聞の報道と該当する「しんぶん赤旗」の記事が、微妙に異なることがときどきありますので、この記事は次回の投稿で全文引用させていただくつもりです。
 また、同日の「しんぶん赤旗」には、不破委員長が民主党の提起した「課税最低限引き下げ問題」について見解を示しています。今回はこの問題について投稿します。
 総選挙が闘われているさなかですから、政党間でさまざまな政策的な応酬が機敏に展開され、これらもその一環として行なわれているのですが、最近の日本共産党の政策的対応は、綱領路線とその延長線上に展開されてきた従来の政策的立場から見て、極めて重大な変更があります。
 私には、これらの政策的な変更が綱領路線の延長上にあるとは思えません。そして、このような政策的変更が党内の民主的な手続きを経て行なわれている様子はなく、現在のように一部の中央幹部の意思によって自在に行なわれているとすれば、もはや党に綱領などというものは必要がない、という感じさえします。

【課税最低限引き下げ問題】
 結論としては、不破氏は、「政府・与党がそういう道(増税路線…引用者注)を走り出そうとしているときに、その呼び水になるような提起は野党としてすべきではない」として民主党をたしなめています。
 この記事の見出しは「”苦い薬”を提唱するときには、実態のきちんとした吟味が必要」です。「苦い薬」とは「課税最低限引き下げ問題」であり、大衆課税を意味しているのですが、このことについて、不破氏は「政党が選挙のときに有権者に対して甘いことばかりでなく苦しいこともいうということは当然のことで、私たちも政治に責任を負う政党として、十分考えていることだ」と述べています。異常な財政危機の進行を考えて、日本共産党の財政再建政策では「諸費税3%への『減税』を先送りした」とのことです。
 不破氏は、「課税最低限という問題は、生計費に課税しないという原則」を根拠として、国際的比較のは為替レートによる比較ではなく、購買力平価で比較をしなければならないとしています。
 不破氏が「生計費に課税しない」という原則を、本当に理解しているとすれば、どうして「5%の消費税」を容認する政策が可能となるのでしょうか。食費、住宅光熱費、交通費など日常生活のほとんどすべてに課税する仕組みの消費税5%は、ほとんど貯蓄もできない低所得層からは収入の5%と同義です。親子4人で400万円ほどの年収しかない家計からも20万円の税を有無を言わせず容赦なく徴収する過酷なシステムです。しかも、こういうことが「議会制民主主義」の名の下に行なわれています。さらに、日本共産党さえこれに反対する姿勢を放棄してしまいました。アメリカ帝国主義と日本の独占資本の支配によって生み出された財政危機を理由として、このような過酷な消費税を国民に押しつけることが行われ、高度に発達した資本主義国における議会制度の範囲内で社会の変革を行おうとする「科学的社会主義を掲げる政党」でさえこれを容認する、ということが現在進行しているということを私は胸に刻んでおきます。
 わが党の委員長が「苦い薬」という古びた卑俗きわまりない比喩を持ちだしていることも、あまりにも悲しいことではありませんか。