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党員用討論欄

6/15のタケルさんへ

2000/6/24 澄空、30代、会社員

 諸事情によりレスが遅れました。
 それにしても、この間の不破指導部の数々の発言には驚きの連続です。最初に目に付いたのが、少し前の『朝日』の記事で、共産党は連立政権協議に参加する用意があることを表明してるから選挙後に野党連合政権ができても野合ではない、という趣旨の発言でした。こんな言い分、誰が納得するのでしょうか? しかしながら、そういう疑問に答えるのも不破政権論の目的だったのか、と妙に納得したものです。その後、今回の「さざ波」で触れられている問題が立て続けに発生しました。自民の党利党略丸出しの小渕氏の自民・内閣合同葬への参加(新社会党は合同葬自体を批判していましたが)、連合政権・民主連合政府での自衛隊活用発言、「皇太后」の死去に際しての「弔意」と国会決議への賛成投票……いったい不破指導部はどこまで堕落していくのでしょうか?
 タケルさんは、編集部に対して、離党をすすめておられますが、私は逆に、党史の偽造までして路線変更をこれまでと同じだと強弁する不破指導部こそが離党して「左翼民主党」でも作るべきだと思います。これらの問題については、私は「さざ波」を断固支持するものです。

タケルさんの議論の問題点
 私があなたの議論に興味がないというのは、議論に進歩がなくなったように思うからです。あなたの考えは、現行指導部の路線は綱領路線そのもので、「さざ波」はそれから外れてるということに尽きます。その核心部分が統一戦線論ですね。何度も同じことを繰り返さなくても、あなたの考え方は十分にわかります。
 私はすでに党の統一戦線論に弱点があると述べたように、綱領路線を丸ごと肯定するものではありません。「さざ波」でも、党の政治路線を「国民主義」と規定して批判しています。つまり、「さざ波」による現指導部批判は、綱領からの逸脱への批判とともに、綱領路線自体も批判の対象となっているということです。その議論の当否、妥当性を論点にせずに、綱領路線と違うと述べてもこれ以上の議論の進展はないことをまず指摘しておきたいと思います。
 またあなたの姿勢として問題なのは、現指導部は綱領路線を継承している部分も逸脱している部分もあるのに、逸脱している部分についてほとんど目を閉ざしているということです。もっとも、今回の自衛隊活用発言についても、党大会決定すら確認せずに「しんぶん赤旗」の記事をうのみにする姿勢を持ち続けているかぎりは、不破指導部の問題点などわかりようがありません。私は、過去の大会決定を入党後1年以内に読破しましたから、読み返さなくてもデタラメであることがわかりました。不破氏の「自衛隊活用論」を擁護されたことによって、タケルさんは実は過去の大会決定を理解していない、そしておそらく綱領路線も正しく理解していないことが明白になったと思います。現在の不破路線が六全協以来一貫したものだ、などと軽軽しく言わないでいただきたいと希望を申し上げておきます。
 確か、あなたは「日の丸・君が代」問題については、「さざ波」と同じく指導部の対応に批判的であると言われました。このときの不破氏の考え方を単純化すると、国旗・国歌はあってもよいが、「日の丸・君が代」はダメだというものです。実は不破氏の思考は、ほとんどこのパターンで、今回の自衛隊についての「朝日」などでの発言もまったく同じです。つまり共産党が政権参加する政府で、自衛隊の「自衛機能」を使うのは当然だ、つまり、米軍の補完軍隊かつ弾圧組織としての自衛隊はダメでも、その「自衛機能」はよいというわけです。「皇太后」の死去に際する談話にしてもそうです。「皇太后」を「皇室」と「人間」とに分離して、人間の方に弔意を表明するというものです。この考え方のどこに、不破氏の大好きな弁証法があるというのでしょう? 不破氏は自分の頭の中で形而上学的に、よいものをわるいものから分離してみせてるだけです。このような方法論を用いたら、どこまでも現状に跪いていくことになります。

再び統一戦線論について
 あなたの言うように、党の統一戦線論は、その対象の階級的本質を問題にすることはありません。それは「さざ波」が綱領の立場を「国民主義」と規定しているように、現行綱領では、日本の変革の際に敵となるのはごく一部の独占資本主義だけであとの部分はすべて同程度の変革志向があると考えているからです。しかし、同時に日本の支配構造において安保の問題を最重視しているのも綱領なのです。この点を綱領の核心部分だと考える者(私はその一人ですが)にとっては、不破路線は右傾化路線と言わざるをえません。私は一つ前の投稿で、綱領は安保を保留してよいとは書いていないということを指摘しました。その意味をよく考えていただきたいと思います。それゆえ、党の統一戦線論が階級的本質をうんぬんしていないという論拠だけで、「さざ波」を批判した気になっているとすれば、あまりにも無邪気すぎます。
 しかし、党の統一戦線論をまったく正しいと仮定したとしても、あなたは少しも「さざ波」に有効な批判をなしえていません。
 まったく初歩的な問題ですが、統一戦線がめざすものが日本の民主的変革である以上、その支配構造の変革をめざすという方向性が一致した上での統一戦線でなければならないということは理解できるでしょうか? 民主党は共産党とめざす方向が逆であるがゆえに連立政権はありえないのです。もし現状のままに連立政権ができたら、それこそ「野合」でしょう! 反核統一戦線に、階級的本質は問題にしないからと言って、核武装論者を入れることができるでしょうか? 入れませんよね? あなたの場合は、核武装論者も「変わる」ことを期待して、「主体的努力」をすると言われるかもしれませんが。……私は同じ労力を使うのならば、本当に核兵器廃絶を望む人々との共同行動を大きくする努力をすべきだと思います。あなたは運動において困難な局面にあることを理解されているはずです。われわれ党員の力は、元来方向の違う人たちへ手を伸ばすよりも、今ある困難なところで力の回復を図るべきではないでしょうか? 切実な要求をもち、なんとかして少しでも日本をよい方向に変えていきたいと願う国民に、投票という行為(選挙のとき党名と候補者の名前を書くというわずかな行為)だけでなく、その要求を自ら表現し具体化して運動をつくりあげていく努力こそが今もっとも求められていると思うのです。

過剰な指導部防衛反応の根拠はどこに?
 先日、一般紙に掲載された党の広告をみると、雇用規制について「ヨーロッパ並みの」と表現されていました。「さざ波通信」の指摘・批判が正当なものであった証拠です。とくにこの件は、争うことのできない事実の問題であるがゆえに、指摘があれば現指導部でも是正するはずのものです。「さざ波通信」の論文には、大衆的な宣伝物や公的な場所での指導部の発言を厳しく批判していますが、それらの少なくない部分が、そのような性質のものだと思います。しかしながら、そうしたものまで指導部を擁護する党員がいることには、本当にあきれてしまいます。タケルさんにしても、「有事」とは「周辺有事」のことだとかいう勝手なこじつけでもって不破氏を擁護してますね。
 なぜそこまで擁護するのでしょうか? 少し冷静に熟考されるよう希望します。