「さざ波通信」13号を批判する形での投稿を予定していたのですが、どうも建設的なものにならないので全然違う角度から投稿したいと思います。
■我が党の後退をどう見るか
80年代以降、総選挙でのわが党の得票数は500万票前後を推移してきました。その間、党員数は40万弱、赤旗部数は300万前後で推移しており、いつでも我が党を支持する「基礎的支持者」に大きな変化はなかったと考えられます。前回96年の総選挙で700万票得票できたのは、社会党がなくなり支持政党がない無党派層の受け皿になったからです。今や無党派層は現在有権者の4割を占める「第一党」です。各種の出口調査によると、96年の選挙では無党派層から我が党に20%以上流れたのに、今回は10%台前半でした。今回の後退はこの無党派層の支持を前回ほど獲得できなかったことに尽きると思います。
■後退の原因-1
そこから今回の後退の原因は、党がまだ政権を云々するに充分な基礎的支持者を獲得出来ていないにも関わらず、政権を視野に入れた政策や戦略、戦術を取ったためだと考えられます。つまり彼我の力関係を正確に捉えられなかったことが敗因です。
●戦略
戦略の問題では、小選挙区制の元では選挙民が「政権」を問題にして投票するのは当然ですから、与党の「保守中道政権の安定か、民共政権の混乱か」と迫るのは正しい戦略です。我が党は野党第2党ですから、民主党との政権協議が進まないと判断したどこかの時点(多分5中総時点)で「独自色」を強く出さなければ「政権選択論」に埋没することは予測可能でした。その点、自由と社民は正しい戦略を持っていたと思います。
●政策
政策の問題では、上記戦略から来る「独自色」として雇用対策と安保廃棄を強く打ちだすべきだったと思います。今回の「日本改革」は全面的で解り難かったことと、いつも主張の最初に来た「公共事業の削減」は民主党と酷似していたのです。
雇用対策を言ったのは我が党だけですから「独自性」はありました。この問題は4中総で大きく取り上げられていた様にもっと重視すべきだったと思います。結果からみると今回、選挙民は「財政再建」も重要だが「景気対策」がより大切だと判断したと考えられますが、我が党はいつも「財政再建」優先だった気がするのです。具体的には解雇規制とワァークシェアリングの他に、雇用を生み出す事業の創設を言うべきでした(4中総にはある)。そして雇用を生み出す公共事業は「無駄な大型」じゃなく「福祉教育型の身近な役に立つ」公共事業なのだ、と論理展開するべきだったと思います。優先順位が逆でした。
安保問題では、安保の保留はあくまでも与党が過半数割れしたときの連立協議の場での態度ですから、我が党の政策に「たとえ安保が廃棄されなくても」などということを書く筋はありません。強く「安保条約をなくして核も基地もない日本を」と言うべきでした。
●戦術
戦術の問題では、小選挙区で必勝区を100以上(多分)作って、あわよくばと狙ったことです。幾つか接戦のところもありましたが1つも届きませんでした。比例区で55万票も減らしているのに小選挙区では25万票も増やしているのですから、「比例を中心に」が徹底されなかったのだと思います。
■後退の原因-2
次に謀略ビラがあります。確かに我が党の支持者があのビラで支持を止めることなどないでしょうが、何となく野党に投票しようと決めていた選挙民に対して、野党4党の中から我が党を消す要因にはなりえたでしょう。また、ああしたビラで選挙に嫌気を感じで投票に行かなかった例もあります。公明党は京都、大阪に続いて今回の選挙でこのやり方に味をしめていますので、これからも続くでしょう。この問題はいささかも軽視せずに徹底して追及する必要があります。しかしこれは我が党の「敗因」と捉えるよりも、民主主義に対する挑戦だと捉えたほうがより選挙民の共感を得られると思います。
■後退の原因-3
原因-1でも書いたことですが、選挙の戦略や政策に全党の知恵が反映されなかったことにもう一つの敗因があると思います。消費税を当面5%に据え置くと決めたことや、中盤から消費税増税問題を取り上げたことなどは、私たち末端の党員にとって解りにくいことでした。民主集中制の組織原則は当然ですが、私たちは創価学会員ではありませんから、納得なしに動くことは出来ません。
一人ひとりの党員が自信と責任を持って活動するには、一人ひとりに対する情報公開と一人ひとりが決定責任を持つことが大事です。そこで私は次の党大会に向けて次のことを提案したいと考えています。ここで同志を募ると規約違反でしょうから、皆さんのお考えをお教え下さい。
1)常任幹部会(委員長や書記局長を含む)の党員による直接投票
・全ての党員に投票用紙を手渡す活動には意義がある
・投票は郵送による
・立候補要件は現在と同じ8年以上の党歴
・全ての候補者に対して同じ条件で赤旗紙上で議論を保障する
2)国政選挙の際の「政策と方針」は全党員の政策議論の場を保障し全党上げて作る
・投票日2カ月前くらいの政策素案の提示。
・短期間での、支部→地区→県→党大会の開催。
・ネットやFAX、赤旗紙上を通しての大胆な議論展開。
私は「さざ波通信」編集部の「右傾化への審判」などという敗因分析は正しくないと思うし、党中央への態度は間違っていると思いますが、もしあなた方が現役の党員であるならばどうやって党を改革するかを一緒に考えませんか。
このネットでの議論も価値あることでしょうが、実際に所属する支部で活動し、党員のあらゆる権利を使って中央にも提案することこそ重要だと思います。