「赤旗」12月27日付で「市川正一氏の党規律違反行為とそれに対する処置について」なる文書が中央委員会書記局名で発表された。
しかし、この内容は、5月29日付の除名処分であり、発表が7ヵ月も後になったことを党中央が「関係者のプライバシーを考慮して」と説明しているが、今回の発表自体にそもそも大いなる疑惑が感じられる。
1.書記局は誰に向かって何を発表しているのか。
「第22回党大会で、市川正一氏が名誉役員に選ばれなかったことについて一部マスコミから質問がありました。質問を寄せたマスコミには、それにこたえた説明をしましたが、その事情は、次の通りです。」
これは、一体何か。元の常任幹部会委員、除名時点では、名誉幹部会委員である。その人物の除名をマスコミに「説明した事情(?)を発表した訳だが、相手は誰なのか。党員であるというなら、こんないい加減な発表は有り得ない。また、質問を寄せたマスコミには、除名とは、「党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない」(党規約第54条)はずのことを勝手にリークし、しかも党員には7ヵ月間もその事実をひた隠しにしてきたことは党中央には重大な問題がある。また、こんないいかげんな発表しかできない書記局ならはっきり言って、不要である。
2.規律違反行為の内容が全く不明である。
今回の件は、「5月13日、市川正一氏から、自分の規律違反行為について報告があり、あわせて、名誉幹部会委員の辞任の申し出があり」発覚したものとのことだが、辞任は5月22日の常任幹部会で確認している。
「市川氏の規律違反行為については、本人から詳しく事情を聞くとともに、この問題にかかわる当事者からも直接ことの経緯を聞きました。この規律違反行為は、党の規律はもちろん、社会的道義に根本からそむいたもので、しかも、市川氏が党の幹部として重要な部署についた時に始まり、それ以来長期にわたって続けられてきたものでした。今回、党に報告してきたのも、自発的に責任を感じてというものではなく、他の人物から問題が党に知らされようとしていることを知って、やむをえず行ったものであることも明らかになりました。」
これでは、何も明らかしていないのと同じである。我々党員や赤旗読者は、3文小説など読んでいる暇はない。党中央がいう市川氏の「社会的道義に根本的そむいたもの」というのは何なのか、それがはっきりしなければ除名などできないではないか。いつから何を誰(固有名詞は当然不要)に対して行ってきたのか党中央は全党員に知らせる義務がある。それとも一般の党員にこの発表文書を読ませて、憶測や勘繰りをさせるのか。
3.党中央関係者の厳正な処分を
いつから何を行ってきたのか明らかにせず、うやむやにすることになれば、結局、党中央の責任回避である。
「重要な部署についたとき」とはいつか。
「社会的道義に根本からそむいた」とはどんなことか。
「他の人物から問題が党に知らされようとしているのを知って」自ら名乗り出たというなら、当然、周囲では公然の秘密となっている可能性も充分ある。当時の「上司」の監督不行き届きもあり得る。もし、これが「セクシャルハラスメント」等であったとするなら当時の「上司」はもとより、委員長も責任をとらねばなるまい。なぜなら、いまや企業でも「就業規則」で規定することが法律上義務付けられているし、事業主責任も問われることであるからだ。
それが「ルールなき資本主義」といえども「資本主義の枠内」で経営者=資本家でさえ今の日本では、責任を負っているのだから。いずれにしても元常任幹部会委員・書記局次長の規律違反の真相を党員に情報公開するのは当然のことである。
「関係者のプライバシーを考慮して発表を差し控えてきた。」というが、固有名詞や個人を特定する情報を公開しないことは、当然であるし、それをもって発表しなかったこと自体の正当化を主張するのは、問題のすり替え以外の何ものでもない。
それにしても、市川氏が第17回党大会において、中央委員会を 代表して「党規約の一部改正についての結語」の最後でこう述べているのは皮肉でさえある。
「すべての党員と党組織が、この規約をまもり、日常の党活動と党生活のなかにつらぬくことこそ、綱領路線を堅持して、いかなる困難にもたじろがない、剛毅強靭な、確固たる党、そして、すべての党員の初心と善意を生かし、党生活のすみずみにまで、同志愛と連帯にあふれた活力ある党を建設する保障であることを、かさねて強調し、中央委員会を代表しての党規約一部改正案に対する討論の結語を終わるものであります。(拍手)」
一般のまじめに活動している党員はやりきれない思いだ。やはり、「さざなみ」でいわれているように自分の頭で考えなければならない。大会代議員で出て(拍手)ばかりしていられないということである。
我々は日米支配層だけでなく党中央のダラ幹をも相手にして闘わねばならない。「お前が守れよ規約を」ということだ。
4.処分発表者は、幹部会委員長では
こうした中央幹部の除名発表者は、「中央委員会幹部会」と「中央委員会総会」で承認した以上、委員長の責任でやるべきであろう。
少なくとも「書記局」などと誰が責任者かわからない形で発表すべきものではない。固有名詞の責任者名でやるのが、社会的常識である。責任逃れはやめよ。
5.党中央の責任は重大である
改めて言う。党中央の責任は重大である。これまで、少なくない幹部が自ら規律違反を起こし、除名処分となっている。今回も重要な部署についたときから、長期にわたり規律違反を行ってきたという。何故そのようなことができるのな のか。なぜ何度も繰り返されるのか。なぜ解明して発表しないのか。その点に党の体質ではなく中央委員会の欠陥体質がある。自浄作用はないのか。ないのならそれが可能な党内民主主義を確立する抜本的な党改革と規約改正が必要だ。今回の件をうやむやにすることは許されない。それともその真相を「反共週刊誌」に委ねるのか。「反共謀略ビラ」に委ねるのか。あきらかであろう。