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党員用討論欄

岡倉古志郎氏の訃報に接して

2001/4/9 KM生

 元学術会議副会長の岡倉古志郎氏が逝去された。赤旗では元党学者後援会代表とされていたが、恐らく党員であろう。私が大学入学した70年代前半には、「学者の国会」ともいうべき学術会議に党員支持者の学者が多数選出されていた。民青の独習指定文献の新日本新書の著者であった物理学の田中一氏、坂田昌一氏、経済学の金子ハルオ氏等私たちにとっても大いに励ましになったものである。
 しかしこの頃から既に70年の11大会決議で「活動に追われて卒業できない学生党員、学問の最先端についていけない学者党員」の問題は指摘されていた。残念ながらこの問題は30年間克服されず終いだった。選出方法が選挙制から任命制に代わったとはいえ、今日学術会議に党員支持者の学者は殆ど見当たらない。専攻分野で一流の成果を挙げられているのは、天文学の海部宣男氏、池内了氏、放射線防護学の安斎育郎氏などわずかではないか。特に社会科学や民主文学に至っては、身内にしか通用しないものさえ眼につく。
 昨今の青年学生分野での後退と、こうした日本共産党の知的権威(戦前の小林多喜二や河上肇の例を見よ)の低下とは決して無縁ではないであろう。岡倉氏の死は良かりし時代の終焉のようにさえ感じられる。