かつて宮顕は大韓航空機事件の際、「確証がなければ犯人は不明という立場は不可知論である。事件を巡る状況から北朝鮮という真犯人に到達しうる」と逸早く北朝鮮犯行説を唱えたものである。その後の展開で北朝鮮による犯行が確定的になったとき、我々は宮本議長(当時)の洞察力の深さに眼を見張った物である。しかるに今朝の赤旗は(他紙が一面トップで金正男不正入国の記事を掲げているにも拘らず)2面の片隅に金正男と断定せずに掲載しているだけである。大韓航空機事件よりは、はるかに(金正男である)確実性の高い事件でこのような対応をとるとは、不破志位一派は不可知論者に転落したといわねばならない。私は宮顕盲信者ではないが、宮顕的長州ナショナリズムが懐かしい。又今回の政府の対応に対する論評もなかった。飢餓に苦しむ国民を抱えて食糧支援を求めている国の元首の長男が家族観光旅行とは結構な御身分ではあるが、立派な不法行為なのである。日本人拉致事件はいうに及ばず、よど号事件の妻子の帰国も取り沙汰されている現在(子はともかく、妻達は立派な誘拐犯なのである=高沢皓司著「宿命」による)、日本の主権を侵すこのような行為には厳正に対処せねばならない筈だが、政府の弱腰には呆れる。北朝鮮に「日本組し易し」と舐められただけで、何の恩義も感じず今後の日朝交渉においても、何の譲歩も得られないであろう。今こそ日本共産党は、「平和的手段によって自国民と主権を守ることこそ国家の義務」と提起すべきではないのか。