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党員用討論欄

今、公式の「科学的社会主義」ってなに?

2001/9/7 マリアクリスティーナ、30代、団体職員

 『科学的社会主義を学ぶ』という不破哲三氏の著書(講演録)が、ある。先日、「赤旗」紙上で、各地でこの本が話題になっていて、これをテキストに学習を進める運動が進んでいるという報道、ならびに「科学的社会主義が教条でなく生きて発展する科学であることがわかった」などのコメントと共に、読者一般に「感想文」を募集する記事が掲載された。
 ミヤケン引退以降、「独習指定文献」も明示されず「学習運動」も強調されず、入党者への「基本課程」教育も義務でなくなった今、この『学ぶ』を教科書にして思想建設を進めようというのだろうが、甚だ疑問である。
 そもそも「科学的社会主義」ってなに? すくなくとも、マルクス、エンゲルス、レーニンなど一連の理論家たちの言説を近代政党として体系化した「公式見解」ではないのか。10年前は「学説と運動と体制」とかいってたけど、今は「公式見解」すらなくなってる。そんなものは無いほうが健全だとの意見もあろうが、規約上、党の規範理論なのだから、公式見解が無いと困る。「前衛」でなくなったらか、理論に関心すら寄せない党員が大多数だとすれば、この組織って「共産党」?
 しかも、10年前は、「玉ねぎの皮むき」などと、加藤哲郎氏など党に近い政治学者の研究と業績をバッサリ切り捨てておいて、知らん顔して不破哲三が「レーニン」批判を雑誌『経済』で展開し、あろうことが『学ぶ』では、資本主義の体制的矛盾について、マルクスとエンゲルスは違う立場にあったなどと描き出している。なんだこれは? いわく、「生産の社会的性格と取得の私的性格」や「生産の無政府性」に資本主義の「矛盾」と「揚棄」の契機を見出したのはエンゲルスのバイアスであって、マルクスは「蓄積のための蓄積」「生産のための生産」へと進んでゆく資本主義の「体制的矛盾」を見出していたのだ…と言いたいようだ。用心深く「研究中」とは書いているが。
 マルクス主義の立場で「社会主義」を語るとき、問題は「生産」管理なのか、社会資源の「分配」なのか、と言う命題はこれまでも研究されてきた。問題は、このような不破氏の「研究」が党の「公式見解」の変更なら、きちんとこれまでの理論的立場を総括し、「変更」点を明確にする必要がある。理論問題で過去に多くの人々を政治生命を左右捨ててきたのだから、「認識の発展」などという誤魔化しではすまされない。特に、「資本主義の基本矛盾」という根本的な命題の解釈変更を、なし崩しにキャンペーン化しようとする動きには、絶望的ない思いと脱力を禁じえない。
 こんなこと、皆さんご存知ですか?