今回のニューヨークで起きた事件への対応の難しさは、いかにして「文明の衝突」に持って行かないかと点にあります。そのためには、まず今回の事件を「犯罪行為」と、断定する必要があります。その上で、国際的犯罪に対処する主体として、国連を唯一の責任ある主体と限定したところに、今回の共産党の方針の意味があります。国際的犯罪には、国際的機関での裁きを。こう主張することにことによって、アメリカの覇権主義的な動きを制約することができます。一方で、この国を、これ以上帝国主義的な軍事国家しないためにも、自衛隊の海外派兵を厳しく批判する論陣をはり、行動も起こす。ここに、今回の共産党の主眼があるのでは、ないでしょうか。日本の帝国主義的膨張の野心には、一定の物質的裏付けがあるとの警告は、渡辺治氏が、一貫して主張しているところです。日本が再び「東洋鬼子」とならないために、一方で、確実に「帝国主義市民」として変容しつつある国民各層から乖離しない方針は何か。ここに、今回のような事件に対応する難しさがあるのでは、ないでしょうか。小泉内閣に対する、各界各層を越えた極めて高い支持率は、単なる「虚偽イデオロギー」ではないと、思われます。