最近、「不破哲三『科学的社会主義を学ぶ』批判」と題する論文が「かけはし」紙上に連載されている。著者は日本共産党員らしい。
http://www.jrcl.net/web/frame0920h.html
http://www.jrcl.net/web/frame0926h.html
このかけはし論文は、私と基本的に同じ立場にたっており、このような日本共産党員がいるとすれば嬉しい限りである(実は私も不破の『科学的社会主義を学ぶ』を批判する雑文を、このさざ波に二度ほど投稿したことがある)。
この論文では、不破の意図について大胆な仮説が提示されている。従来から、不破は社会主義をはるか彼方の彼岸に追いやってしまって、もっぱら「資本主義の枠内での民主的改革」のみを問題にしようとしている、と指摘されてきた。しかし、この論文では、不破はもっと積極的に「社会主義」の概念そのものを修正しようとしているのではないか、と見ているのである。まだ連載の途中であるが、これまでのところ、市場経済論のレベルから、および「資本主義の根本矛盾」のレベルから、不破がいかに社会主義概念を修正しようとしているかが検討されている。
結局不破は、「社会主義」を「修正資本主義」とたいして変わらないシロモノと規定している。こうしておけば、きたるべき綱領改定の際に、「社会主義」の文言を放棄しなくとも、実質的に改良主義国民政党への転換が可能となるのだ。
また、この論文は、不破の「あまりにも乱暴な単純化やデタラメな議論」をいろいろと指摘している。「具体的な社会構造の分析という面倒な作業を事実上放棄してしまっている」不破の方法論は、科学とは対極にある観念論のそれである、と痛感させられる。不破の頭の中でいくら分かりやすい理論がつくられたとしても、現実との対決で証明されていないならば、それは分かりやすい空想に他ならない。
この論文は、すべての党員、特にさざ波通信の読者である党員には是非とも読んでもらいたい論文である。「分かりやすい空想」を科学だと信じている観念論者には、自分自身で科学的に考える材料としてもらいたい論文でもある。乞う一読!