8月31日の本紙は、国連などテロ攻撃による、イラク占領の欺瞞性を指摘し、対米従属日本の異常性を自衛隊の概算要求からあぶりだしている。
読者の広場でも、「金さんの述懐として初めて聞いた」として、80歳の松浦氏の投稿。在日朝鮮人としての70余年のご苦心を30年来のつきあいの金さんから、初めて聞いたもの。
何かと差別され、ろくな仕事もなく、苦労の連続であったこと。 徴用されたシンガポールでは、慰安所の前に行列を作っている日本兵と、従軍慰安婦の同胞の朝鮮人をみたこと。
北朝鮮の拉致が大問題になっているが、戦前・戦中に幾千、幾万倍の拉致が日本国によってなされたことを多くの日本人は知らないのでは・・と、うったえる。従軍慰安婦にされた女性の怒り、金さんのいつになく興奮した顔などを友人としてつたえる。
また、58歳の大塚氏は、「ウソは戦争の始まりを伝え」と題して、ベトナム戦争の引き金とされるトンキン湾での事件はアメリカの捏造、日本の15年戦争も軍部による策謀、ブッシュ戦争も大量破壊兵器に始まるウソの連続。まさに、「戦争はウソから始まる」とこどもたちにつたえてほしいと、願う。
私は、戦争はいつでも、ウソからつくられウソで終わるとおもう。だから、これをくりかえさない、真実を見抜くこと、ウソにだまされぬことが、もっとも有効な戦争阻止になるとおもう。
10面、掌編小説「プリーズ・ギブ・ミー」はどうであろうか。ミニコミ誌から以来された「読者の心に沁みるないようで・・」の作家のもの。
敗戦後、日本に占領する米兵たちと自分を含む子どもたちの関わりの描写である。チューインガムをねだるこどもらと米兵の嘲りなど、生々しいリアルさがよくでているが、文末、「ぼくはふと思った。自衛隊がイラクに行ったら、あの国の貧しい子どもたちは軍服を着て銃を持った日本人に何と言うのだろう。「スミマセン、チューインガム、クダサイ」と日本語で言うのだろうか。それとも安物の土産物を差し出して「シェンエン、シェンエン」とつくり笑いをしながら千円札をねだるのだろうか。隊員の若者たちは、彼らを指さしてどんな声を出して笑うのだろうか。
この作家の神経を疑うものであるが、おめおめとこうした文章を掲載する赤旗編集局の見識をも疑わざるをえない。
まず、この作家は、現在の戦争構造における視点がなっていない。赤旗なんぞ、よんでいないのであろう。いま、イラクでは、米兵の無法な占領になにがおこっているか。身を挺して、占領軍に向うパレスチナの少年は、この作家の目にはどう、うつっているのか。この作家の視点は、米国のシナリオを踏襲し、早々と、核爆弾を落とされたあとの日本の隷属状態を描いてみせる。しかも、自衛隊を、米軍と同じに見立てる筋書きはおぞましいかぎりである。
かつて、私は、共産系の団体がアフガニスタンに取材、そのレポートを赤旗でよんだことがあるが、まるで、動物園の動物を観察するかのような文を、自慢たらたら掲載したことに、激しい怒りをかんじたものである。
共産党の視点は、このようにして、日ごろの努力をフイにするような甘さがある。結局、人権とか、民族自決権とかいってみても、そのことの重さを分かっていないということだろうか。批判を寄せ付けない独善は、某作家からきいたことがあるが、最も大事な視点がぬけおちるのでは、何とも情けない。