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党員用討論欄

同時多発テロから2年ーー赤旗・朝日の無内容な「主張」

2003/9/10 長壁 満子、40代、金融

 9月10日、赤旗は「9・11」2年ーーとして、「無法な戦争がテロを広げる」 とした主張である。無法でなければ、つまり、国連の多国籍軍の戦争なら、テロは縮 まるのか。いままで、ずっと、国連の戦争を続行してきたのではなかったろうか。

 戦争ではなくせない
 一、 テロは、いかなる政治的見解や宗教的信条によっても正当化されない犯罪行 為です。その根絶は、国際社会の一致した力で、テロの犯人を逮捕し裁判にかける    法の裁きによっておこなうべきものです。{この文言は、赤旗編集局の定石とな りました。}

 二、アメリカが始めた戦争は、国際社会がそろってテロに立ち向かうのを困難にし、 テロの犯人を捕まえるどころか、世界中にテロを拡散させています。{そうでしょう か。一の理由によって、国際社会が反テロで一致し、アメリカに追従し、アフガン戦 争がはじまりました。おもてだって、実戦部隊をださなくても、世界中の国民のなか に、浸透した見解は、ブッシュの掲げる「テロ掃討作戦」です。ですから、}

 三、もともと、自国が攻撃されてもいないのに他国を攻撃したり、国連決議で認め られてもいないのに軍事力を行使するなどというのは、国際社会では認められません。 無法な戦争は、テロとたたかう国際的な大義さえ危うくするものです。{自国が攻撃 されてもいないのに他国を・・は、国連も大義も関係なく、だめなものはだめなので す。それとも、共産党は、アメリカでなく、国連がいえば、多国籍軍がOKならば、 どんなホロコーストでもよしとするのでしょうか。ボスニア、湾岸戦争、ユーゴの空 爆のように。多数決の原則ですか。

 四、国連憲章にもとづく国際社会の平和のルールを守れという世界の巨大な流れが つくりだされたのも、この二年間の特筆すべき特徴です。国際社会の連帯と共同を発 展させてテロをなくしていくためにも、この流れをさらに大きくしていくことがもと められています。{テロをなくすために、その根源ではなく、テロリストを捕獲し、 痛い目にあわせる。地球上のどこからも、テロリストの逃げ場がないようにして、国 際社会が一致団結すること。こうした、共産党の見解はブッシュ政権の蛮行に加担す るものです(これで何百回いったのかしら)もっともこれが貫徹されれば、こまるの は、ブッシュ政権ですが、地球上からテロリストがいなくなると軍需産業がたちゆか なくなります。アフガンやイラクの女、こども、老人ばかりを誤爆していたら、それ こそ、「大義」がなくなりますから。}

 赤旗は、結局、米国製の土俵から、一歩もおりようとしません。その立派な金箔を 張りめぐらした舞台のあちこちをウロウロしてみるのですが、ここ一番というときは、 無内容な表面的な言辞を弄してこと足れりとします。
 無法な戦争がなぜ、どのようにして、おこされていったのか。テロがひろがるのは、 テロが現在あるわけで、その現在あるテロが、なぜ、おこっているのか、おこったの か。これを考えることなくして、テロの根絶はできません。
 たとえば、何かの圧力(劣化ウラン弾でも経済制裁でも)で、こどもが病気になり、 痛いよ、痛いよと苦しみをうったえる。その泣き声がうるさいからといって、治す薬 の代わりに、さらに経済制裁、劣化ウラン弾を散布して、口封じをする。世界中で、 よってたかってこどもというこどもを殺しまくる行為がやられる。
 これをみるにみかねた人間が、このとほうもない巨悪に対抗するべく、団結する。 たまたま、金と力のある人間が、米国の土俵に、真っ向から対抗するべく、それなり の組織を形成する。理不尽な世界の構造を転換するべく、宗教を拠り所に、理念の集 中が実践される。それは、世界中のイスラム世界に浸透し、下から上まで、なかには、 米国型民主主義の洗礼をうけたものでさえ、ある日、理念を会得する。
 巨悪の象徴に、命とナイフ一本で。
 巨悪を援助する「人道家」を
 巨悪に寄り添う偽イスラム人を、己の命と差し違えに。
 共産党は、国連本部テロにも、ナジャブのテロにも、「根絶すべくは米軍の無法な 占領」という論調でした。志位委員長も、「米軍の占領こそが問題にされなければな らない」という朝日のインタビューでした。「志位さん、進歩したね」とは、このと きの中学生の息子の感想です。
 ともかく、いずれのテロの主犯もわからないときに、「イラク民衆の声」として、 無法な占領への怒りとして理解されたのです。つまり、テロ行為は、「民衆の意思表 明」に準じたものと、正当な見方をようやくされたのです。
 なのにです。9・11が近づくや、なんとも、無味乾燥なブッシュの土俵に乗っかっ た、愚論を展開してみせます。
 共産党は、やはり、頭がわるいのでしょうか。
 永田町、代々木本部にいると、思考力が磨耗するのでしょうか。
 この二年、これほどの膨大な教訓、生々しいリアルな現実をみせつけられても、いっ さい、それらを吸収し、咀嚼し、血肉にしようとしない。これって、いったい、なん なのでしょうか。9月9日の「チリ軍事クーデター」の新藤通弘氏の掲載は、単なる 偶然だったのでしょうか。編集理念なんて、もともとないのでしょうか。
 森住卓さんも、坂口記者も、結局、赤旗の思考停止を変革できはしなかったのです ね。恐らく、化石老人の方々が中央に鎮座しており、「裸の王様」のような光景があ ちこちにみられていることでしょう。
 先日なくなった、青木雄二氏も起用できないまま、死なせ、今こそ出番であるとい うのに、朴慶南さんも、辛淑玉さんも、登場させないとは・・・わたしは、彼等彼女 等にかんしては、4年前、言及しましたね。お忘れでしょうが・・・
 結局、本気ではないのでしょう。
 私は、少なくとも、二つの新聞が本気で反戦に取り組んだら、戦争は止められると おもっています。一つでは、シカトかつぶされるので、すくなくともと二社が連携す べきです。 で、朝日ですが、この新聞も下がったり、上がったり。進言差し上げて いますが、もうしわけありませんが、認識の低さに唖然とすることが多いです。
 「社説」の主張は、ーー絶望から抜け出すためにと称して、パレスチナの現状を分 析し、表面的な現象面のみを論じ、無難にまとめている。「力ではかなわないイスラ エルに対抗するには、パレスチナの{声なき声}を表にだすいがいない・・」と、赤 旗と同程度の空言を繰り返す。朝日は「その声」を、いまからでもいいですから、力 強く、代弁してください。
 光ったのが、15面、同時多発テロから2年、作家・フアン・ゴイティソーロ氏の 「熟慮できず繰り返す過ち」。
 「テロが起きて間もなく、私は{質問、質問、質問 }と題する論考を新聞に執筆 した。」で始まる7段のインタビュー記事であるが、内容は包括的で、もっとも正当 である。私が言わんとする90%のことをいってくれている。
 ただ一点、違うところは、「欧州からみタ米国のいま」を語っていることである。 濃い内容の評論も、次の文言で私は興ざめとなる。
 --イスラム社会に対して、尊重すべきことは尊重し、逆に女性の置かれた立場な ど批判すべき点を批判する作業が必要だ。重要なのは、問題を批判するだけでなく、 各国に存在する市民社会を西洋が育て、民主主義が定着するように支援することだ。・ ・・

 西洋からみたイスラムの文化、「非民主主義」という決め付け、肌を隠すイスラム を劣等とみなし、ヘソや性器を露にする文化を優秀とする短絡性。口承文芸より活字 文芸をハイレベルとする無思慮。自然豊かな文化より人口的な破壊をよしとする倒錯。 相手はなにも、西洋風の民主主義社会を望んでいないのである。余計なお世話なので ある。
 こうした驕りがあるかぎり、西側思考のわれわれの倒錯がある限り、イスラムの信 頼はなく、「テロ」永遠に無限に拡大し続ける。双方の人類が死にたえるまで。