ねずみさん、どうもはじめまして。
ねずみさんの投稿で知ったのですが、民青同盟は、「同棲」を「性の快楽だけを求める無責任なもの」とみなしているんですね。ちょっと驚きました。肝心の民青新聞本体を見ていませんので、正確な論評はできませんが、「同棲」を退廃的なものとみなしていることは明らかなようです。はっきり言って、20年ぐらい意識が遅れていますね。
現在、法律婚という結婚形態への疑問が市民運動レベルから非常に強く出されており、「事実婚」あるいは単なる「同居」という形態を選択する男女が非常に増えています。少なくとも現在の法律婚は、きわめて反動的です。
まず第1にそれは、夫婦の同姓を強制しており、事実上、女性の95%以上が自分の姓を放棄して、男性の姓を選択せざるをえない状況にあります。形式的には、男女どちらの姓を名乗ってもいいはずなのに、現在の性差別社会においては、圧倒的に夫の姓に統一されているのです。このような現実の状況を見るなら、法律婚を奨励することは、性差別的状況を推進するもの、少なくともその問題性に目を閉じるものと、批判されても仕方がないでしょう。
第2に、現在の法律婚においては、離婚が厳しく制限されており、両性の合意に基づく婚姻という日本国憲法の規定に著しく反するものとなっています(ここらへんの詳しい説明は、長くなるので省略)。離婚に対する制約が厳しいだけでなく、離婚の調停を担当する側も、できるだけ離婚しない方向で働きかけており、いっそう離婚しにくくなっています。そのため、夫からの暴力がある場合でも、なかなか離婚ができず、多くの女性が苦しめられています(最近の東京都の調査によると、妻の3割以上が、夫から暴力を受けたと答えています)。相手が同意するか、裁判所を納得させないかぎり離婚できない現在の制度は、女性の従属的地位をいっそう強めるものです。
ちなみに、ロシア革命直後のソ連では、女性解放政策の一貫として離婚の完全自由化がなされましたが、スターリン時代に法律が改められ、離婚は厳しく制限されるようになりました。アメリカのフェミニストは、これを「性の反革命」と呼んでいます。
第3に、両性の合意だけでなく、国家に対する届け出をも必要不可欠とみなす発想も、両性の合意による婚姻という憲法の規定とは矛盾するものです。わが日本国憲法は、婚姻の要件をただ両性の合意にのみ求めており、国家への届出は何ら婚姻上の要件になっていません。したがって、本人たちがそれを婚姻であるとみなせば、役所に届けていようがいまいが、憲法的には婚姻状態にあるとみなされるし、もし法律ないし公的機関が、国家に届けた婚姻を、国家に届けていない婚姻よりも優先させたならば、それは憲法違反となります。
実際の法運用を見ると、たとえば、事実婚の場合でも、被扶養者は、扶養者の健康保険に入れるし、また年金を受給する権利も保障されています。ただし、税金の配偶者控除および配偶者特別控除を受けられないので、完全に差別がないわけではありません。もっとも、パートナーが常勤労働者なら、配偶者控除など気にする必要はありませんが。
主要な弁護士会の見解も基本的に、事実婚を差別することは憲法違反だという立場に立っており、法律婚のみを健全とみなし、国家に届けていない婚姻(すなわち同棲)を退廃とみなす見方は、笑止千万であり、民青同盟ではなく、石原慎太郎にこそふさわしい立場です。
民青同盟の若い男女諸君、けっして同棲を恥じることはありません。それは退廃でも無責任でもありません。それは両性の愛情と合意にのみ基づいている進歩的な婚姻形態です。