< 再び東ティモール問題 >という投稿がありました。この投稿は党員用討論欄に掲載されていましたが、その内容において日本共産党綱領の立場とはまったく相容れないものであり、投稿者氏が投稿なさることはご自由ですが、私はこの投稿に対してこれ以上反応することに意義を見いだすことができません。
文末に日本共産党綱領から自衛隊に関する部分を抜粋しておきました。投稿者氏は、この内容に照らしていま一度ご自身の投稿内容を検討されますよう期待します。もし、その内容がじゅうぶんに理解できないようでしたら、党機関にご相談になって理論的な検討をされますようにお勧めします。
「さざ波」の党員用討論欄にはいろいろな投稿があります。党員でない読者の方々がこれを読まれるときには、綱領こそが日本共産党のもっとも基本的な立場ですから、常に綱領と照らし合わせて投稿内容を吟味なさることが必要かもしれません。そして、党員用討論欄に掲載される投稿であっても必ずしも日本共産党の最も基本的な立場にきちんと立っているとは限りません。内容からいって日本共産党とはまったく無縁のものもあり得るわけです。党員でない方々が日本共産党「らしいか」、「らしくないか」を評価するさいに、もっとも基本となるものはやはり綱領です。綱領はお近くの共産党事務所へ行かれれば簡単に手に入ります。どうか、革命的な内容が貫かれている綱領をご一読下さい。
文末の綱領の内容から明らかなように、日本共産党は自衛隊の解散を要求しています。まして、(自衛隊の出動を必要とするような)具体性もない「日本国内で武装組織が起こす虐殺・争乱」に自衛隊を出動させるなどということは、現在の日本共産党指導部の路線上にも存在しません。投稿者氏は、オウム真理教のことを指しているようですが、そもそも、これは、初期に起きた坂本弁護士事件を神奈川県警がまともに捜査をしなかったことが、あそこまでオウムを跳梁させたことの背景にあります。全体としてみれば、適切な対応をすれば警察力でじゅうぶんに対応できるものです。投稿者氏はオウムという名称を出していませんが、オウムを連想させる語句を引き合いに出して「日本国内で武装組織が起こす虐殺・争乱」に対して、「日本においてはこれらに対抗しうる組織は自衛隊以外にはありません」と述べています。この主張は、破防法を持ち出した日本の支配層でさえ行わなかったものであり、その意味で、東チモール問題にかこつけた危険極まりない極反動の見解であります。したがって、この投稿者氏の見解は日本共産党の綱領、政策とはまったく無縁のものであり、もっと正確に言えば対立するものです。
教訓的なことは、物事に対応するときに「原則」を曖昧にするとここまで行き着いてしまうということであり、「是々非々主義」というものはこうなるという見本です。東チモールへの多国籍軍の財政支援に賛成する立場は、この投稿に見られるように、場合によると「国内での自衛隊の治安出動要求」にまで発展してしまうのです。日本共産党の原則的な立場は、労働者階級と人民の解放であり、帝国主義に反対し被抑圧民族との連帯であります。この点でも、はからずも不破・志位氏の「財政支援賛成」路線がいかなる結末をもたらすかという教訓的な事例でした。
(以下は綱領からの引用です)
日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍隊の掌握と指揮のもとにおかれており、日本独占資本の支配の道具であるとともに、アメリカの世界戦略の一翼をになわされ、海外派兵とその拡大がたくらまれている。
アメリカ帝国主義と日本独占資本は、憲法の平和的民主的諸条項をふみにじってつくられた再軍備の既成事実を合法化し、自衛隊の増強をすすめ、これをアメリカの軍事戦略にくみこむ海外派兵と日米共同作戦の体制を強化し、そのために憲法改悪をくわだて、軍国主義の復活と政治的反動をつよめている。
党は、自衛隊の増強と核武装、海外派兵など軍国主義の復活・強化に反対し、自衛隊の解散を要求する。天皇主義的・軍国主義的思想を克服し、その復活とたたかう。反動的な暴力団体、軍国主義的団体と政治テロの根絶を要求する。党は、国民の民主的権利の拡大のためにたたかい、破壊活動防止法や公安調査庁など国民の権利を侵害する弾圧法令、弾圧機関の撤廃を要求し、軍国主義と権利抑圧のための立法に反対する。