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党員用討論欄

労働者階級の国際的連帯とは?

1999/11/4 くまさん、40代、教員

 東チモールへのいわゆる「人道的支援」について、非力を省みず、一言。
 ヨーロッパ植民地主義が、アジア諸地域を植民地にしていった時期に、マルクスは、『資本論』の中で、2つの事を指摘していたと記憶しています。1つは、中国を国際資本の勢力下に置いたことによって、資本の世界循環が完了こと。すなわち、本格的な世界資本主義の確立。2つは、植民地征服を必須条件とするイギリス資本主義は、足のつま先から頭のてっぺんまで「血にまみれている」こと。ここに、マルクスの「万国の労働者、団結せよ」が、ヨーロッパ中心主義に陥らず、レーニンの「被抑圧民族団結せよ」につながる視点がある。
 もう一つの視点を、考慮するならば、それは、若きマルクスが喝破したように、労働者階級の解放こそが、全人類の解放につながるという、「類的存在」の視点。
 ここに、マルクスからレーニンに引き継がれた「ドイツ古典哲学」の最良の遺産がある。それを地に貶めたのが、スターリンの「一国社会主義」論であり、スターリン的コミンテルン運動であった。「ブレジネフ・ドクトリン」は、アメリカ帝国主義とソ連社会帝国主義との世界分割の最悪の見本であり、反革命戦略の典型的見本であった。その事態に対する、日本共産党の認識と批判は正しい。
 さて、ソ連社会主義の崩壊後に見えてきたものは、アメリカ帝国主義の一人勝ちの状況であり、「国定哲学」と化した「社会主義」を乗り越えて人々の気分をとらえたのが、旧態依然たる「民族主義」だったとは、あの極めて知性の高いチェコのハベルでさえ、歯ぎしり思いだったのではないか。
 このような状況の下で、イラクのクウェート侵略が起こり、東チモールに対するインドネシアの封殺と虐殺が続行された。これらの諸事態に、わが日本の労働者階級は、何をなすべきか。
 問題は複雑であり、考えるべき課題は多岐にわたる。すでに、この社会での労働者階級の階層分化は甚だしく、一見単純な議論は、分かりやすくはあるが、問題の解決には結びつかないことも多い。
 憲法第9条が、「人類史の最高峰」に位置するものであったとしても、歴史を相対的に見る視点からは、常に批判的なまなざしは免れない。そこに無反省な憲法擁護論は、新帝国主義的段階に深く足を踏み込みつつある社会状況に無力である。
 さて、このように問題状況を考える時、東チモールに対する財政的支援は、言われるほど、反革命的であるか。